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韓国のデリバリー文化は「便利」を超えた——배달의민족(ベミン)が作り変えた食の経済圏

韓国の配達アプリ市場は年間取引額が数十兆ウォン規模に達し、「配達で生きている人」の数も急増した。배달의민족(ベミン)を中心とした韓国デリバリー文化の構造と在住外国人の使い方を解説します。

2026-04-13
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この記事の日本円換算は、100KRW≒10.5円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

韓国では「배달(ベダル)」という言葉が日常会話に完全に組み込まれている。「배달 시켜(デリバリー頼もう)」は、選択肢の一つではなく食事の標準的な解決手段だ。

日本でもデリバリーアプリは普及したが、韓国のデリバリー文化はその浸透度が異なる次元にある。

市場規模の実態

韓国の配達アプリ市場(주문배달 시장)の規模は、韓国統計庁・업계 자료によると2023年時点で年間約26兆ウォン(約2.7兆円)に達したとされる。この数字はコロナ禍で急拡大し、その後も高い水準を維持している。

主要プレイヤーは배달의민족(ベミン:Woowa Brothers、2019年にドイツDH社が買収)、쿠팡이츠(クパンイーツ)、요기요(ヨギヨ)の3大アプリだ。

「단건배달(単件配達)」の登場

ベミンが2021年に導入した「배민1플러스(ベミンワンプラス)」は、1件の注文を専任のライダーが届ける単件配達(단건배달)サービスだ。複数の注文をまとめて運ぶ従来型と異なり、約30〜45分での到着を目指す。

この仕組みの導入後、配達時間の短縮と「温かいまま届く」体験が評価され、競合各社も同様のサービスを展開した。

配達料金の上昇という課題

コロナ禍での急拡大期は各アプリが補助金競争をしていたが、2022年以降は配達料金が上昇傾向にある。消費者が払う配達料は注文金額・時間帯・距離によってKRW2,000〜7,000(約210〜735円)以上になるケースも増えた。

飲食店側のアプリへの手数料も問題になっており、小規模飲食店がアプリ依存の構造に経営を圧迫されているという報道が韓国でも出ている。

在住外国人のアプリ利用

外国人が配달의민족を使う場合、韓国の電話番号(韓国SIM)と韓国語インターフェースが必要になる。英語表示への切り替えは一部対応しているが、メニュー名は韓国語のままが多い。翻訳アプリとの組み合わせで使っている在住外国人は多い。

주소(住所)入力は韓国語の住所体系を理解する必要があり、最初は少し手間がかかるが、一度登録してしまえば次回以降は簡単になる。

「치킨(チキン)」と配達の関係

韓国のフライドチキン文化はデリバリーと切り離せない。치킨(チキン)チェーンは全国に2万5,000店以上あるとされ(2023年時点の業界データより)、「치맥(チメク:チキン+ビール)」を自宅で楽しむ文化をデリバリーが支えている。

배달의민족のアプリを開くと、チキンカテゴリが常に上位に表示されるのはその需要を反映している。

深夜配達という文化

韓国のデリバリーは深夜でも動く。特に서울(ソウル)では、深夜2〜3時台でも注文できる飲食店が多い。夜型の生活・残業文化・야식(夜食)の習慣が、深夜デリバリーの需要を作っている。

在住日本人の間でも「韓国来てから自炊が減った」という話はよく聞く。自炊するよりデリバリーを頼んだ方が安く済む場合もあるほど、食事のコスト構造がデリバリー前提で設計されている食堂が多いためだ。

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