韓国の医療事情——6ヶ月住めば国民健康保険に入れる国で、日本人はどう病院にかかるか
韓国で病院にかかるときの流れ・費用・保険の仕組みを解説。外国人も加入できる国民健康保険制度、ソウルの日本語対応クリニック・大病院の情報まで。
この記事の日本円換算は、100KRW≒10.5円で計算しています(2026年3月時点)。為替は変動するので、現地通貨(KRW)の金額を基準にしてください。
韓国に6ヶ月以上住むと、外国人でも国民健康保険(NHI)に自動加入になる。
東南アジアや中東では「外国人は全額自己負担か、高額な民間保険で対応」が当たり前。その中で韓国は、日本に近い皆保険の仕組みを外国人にも適用している。月額約10万〜13万KRW(約1.1万〜1.4万円)の保険料で、クリニックの自己負担が3割。日本の健康保険と感覚が近い。
もう一つ、韓国には1339という外国人向けの医療通訳サービスがある。24時間対応で、日本語で病院の相談ができる。この番号を知っているだけで、いざというときの安心感が全く違う。
韓国の医療制度——外国人も国民健康保険に入れる
韓国の医療制度で最も大きな特徴は、外国人への国民健康保険(NHI)の適用。
加入条件
6ヶ月以上韓国に滞在する外国人は、国民健康保険に自動加入される。任意ではなく義務。加入手続きを自分でする必要はない——外国人登録から6ヶ月経過すると自動的に適用される。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加入条件 | 6ヶ月以上の滞在(外国人登録が必要) |
| 月額保険料 | 約10万〜13万KRW(約1.1万〜1.4万円) |
| 加入方式 | 自動加入(義務) |
会社員の場合は雇用主と保険料を折半する。個人(留学生・フリーランス等)は全額自己負担。
自己負担率——医療機関の種類で変わる
日本の健康保険と似た仕組みだが、韓国では医療機関の種類によって自己負担率が異なる。
| 医療機関の種類 | 自己負担率 |
|---|---|
| クリニック・医院(의원) | 30% |
| 総合病院 | 50% |
| 上級総合病院(大学病院等) | 60% |
クリニックであれば日本と同じ3割負担。ただし大学病院に直接行くと6割負担になる。軽い症状はまずクリニックを受診し、必要に応じて紹介状をもらって大病院に行く——日本と同じ流れが韓国でも合理的。
保険料の未納はビザ更新に影響する
NHIの保険料を滞納すると、ビザ更新時に影響する場合がある。毎月の支払いを忘れないようにする。口座引き落としの設定が可能なので、加入後すぐに設定しておくのが無難。
医療費の目安——保険ありとなしで大きく違う
| 診療内容 | NHI加入者(KRW) | NHI未加入(KRW) | NHI加入時(日本円換算) |
|---|---|---|---|
| クリニック初診 | 5,000〜15,000 | 15,000〜30,000 | 約530〜1,580円 |
| 総合病院 | 20,000〜60,000 | 50,000〜100,000 | 約2,100〜6,300円 |
| 救急(公立病院) | 約13,000 | — | 約1,370円 |
NHI加入者のクリニック診察は5,000〜15,000KRW(約530〜1,580円)。日本での3割負担と比較しても同水準かやや安い。
NHI未加入(滞在6ヶ月未満等)の場合は全額自己負担になり、15,000〜30,000KRW(約1,580〜3,150円)程度。それでも東南アジアの国際クリニックや中東と比べれば安い。
総合病院は自己負担率が50%になるため、クリニックより高くなる。大学病院(上級総合病院)は自己負担60%。軽い症状でいきなり大学病院に行くと、費用が跳ね上がる。まずはクリニックで診てもらい、必要に応じて紹介状をもらう流れが合理的。
1339——24時間対応の医療通訳サービス
韓国には1339という外国人向けの医療相談・通訳サービスがある。24時間対応で、日本語通訳を依頼できる。
使える場面:
- 体調が悪いが、どの病院に行けばいいかわからない
- クリニックで韓国語が通じない
- 症状を韓国語で説明できない
- 救急で119に電話した後、言語サポートが必要
この番号を携帯に登録しておくだけで、医療面の不安がかなり軽減される。旅行者・短期滞在者も利用可能。
日本語対応のクリニック——ソウル
エスクリニック(S Clinic)
二村洞(龍山区)の日本人街に位置する。日本語対応の総合クリニック。二村洞に住んでいる日本人にとっては最もアクセスしやすい。
- エリア: 二村洞(龍山区)
クライン整形外科
江南区にある日本語対応の整形外科クリニック。
- エリア: 江南区
ソウル日本人クリニック
外国人専用の医療機関。日本語で受診可能。
- エリア: 江南区
日本語対応の大病院——高度医療が必要なとき
韓国の大病院は医療水準が高く、美容医療・がん治療・先端医療で世界的に知られている。以下の大病院には国際診療センターがあり、日本語コーディネーターが在籍している。
セブランス病院(延世大学医療院)
韓国を代表する大学病院の一つ。国際診療センターに日本語コーディネーターが在籍し、予約・受付・診察の通訳をサポートする。
- エリア: 西大門区
- 公式サイト: severance.healthcare
サムスンソウル病院
国際医療センターに日本語対応スタッフ在籍。がん治療・高度医療に定評がある。
- エリア: 江南区
- 公式サイト: samsunghospital.com
ソウル大学病院
韓国最高峰の大学病院。国際診療センターで日本語サポートあり。
- エリア: 鍾路区
受診の流れ
- クリニックを予約する — 電話またはオンライン予約。日本語対応クリニックなら日本語で予約可能。韓国語が不安なら1339で相談してから予約する方法もある
- 来院 — パスポート、外国人登録証、NHI保険証を持参
- 診察 — 症状を説明して診察を受ける。NHI加入者はその場で保険適用される
- 処方箋 — 薬が必要な場合は処方箋を受け取り、薬局(약국)で購入
- 会計 — NHI加入者は自己負担分のみ支払い。未加入者は全額支払い
韓国では「医薬分業」のため、診察と薬の購入は別の場所で行う。クリニックの近くには必ず薬局がある。
保険の選び方
駐在員の場合
6ヶ月以上の滞在であればNHIに自動加入されるため、基本的な医療費はカバーされる。ただし上級総合病院では自己負担が60%になるため、会社のグループ保険や民間医療保険との併用を確認する。
確認すべきポイント:
- NHIでカバーされない部分: 美容目的の施術、先進医療、個室差額ベッド代等
- 会社のグループ保険: NHIの自己負担分を補填する保険があるか
- 歯科: NHIでは歯科の自己負担率が高い。歯科特約がある保険を検討する
現地採用・フリーランスの場合
NHIの保険料は全額自己負担(会社員は折半)。月10万〜13万KRW程度。日本の国民健康保険と比べれば安い。
NHIだけでも基本的な医療費はカバーされるが、入院や手術で高額になる場合に備えて民間医療保険を追加する選択肢もある。
旅行・出張で来る場合(6ヶ月未満)
NHIの対象外なので、全額自己負担か海外旅行保険で対応する。
- 海外旅行保険に加入していれば、日本語クリニックでキャッシュレス受診できることがある(事前確認が必要)
- 韓国の薬局: 処方箋なしで買える市販薬が多い。コンビニでも基本的な常備薬は入手できる
- 1339は旅行者も利用可能 — NHIに加入していなくても、医療通訳サービスは使える
緊急時の対応
| 連絡先 | 番号 |
|---|---|
| 消防・救急 | 119 |
| 警察 | 112 |
| 外国人医療通訳サービス | 1339(24時間対応) |
| 在韓国日本大使館 | 02-2170-5200 |
韓国の119番は日本の119番と同じく消防・救急の統合番号。韓国の救急システムはしっかり機能し、到着も比較的早い。救急車は無料。
ただし、救急隊員が日本語を話すことはまずない。韓国語か英語で状況を伝える必要がある。韓国語が難しい場合は:
- 1339に電話して通訳を依頼する
- 住所と症状を韓国語で書いたメモを用意しておく
- 日本語クリニック(エスクリニック、ソウル日本人クリニック)に直接電話する
- タクシー(カカオタクシー等のアプリ)で最寄りの病院に向かう
日本語対応医療機関 早見表
日本語クリニック
| クリニック | エリア |
|---|---|
| エスクリニック | 二村洞(龍山区) |
| クライン整形外科 | 江南区 |
| ソウル日本人クリニック | 江南区 |
日本語サポートがある大病院
まとめ——NHI自動加入+1339で、韓国の医療は日本に最も近い海外
韓国の医療は、外国人にとってかなり恵まれた環境にある。
- 6ヶ月以上住めばNHIに自動加入 — クリニック3割負担。保険料は月約1.1万〜1.4万円。ただし滞納するとビザ更新に影響するため、口座引き落としを設定しておく
- 1339を携帯に登録しておく — 24時間対応の医療通訳サービス。病院探し・症状の説明・受診の流れまで日本語でサポートしてもらえる。旅行者も利用可能
- 日本語クリニック+大病院の日本語コーディネーター — 二村洞のエスクリニック、江南区のソウル日本人クリニック。大病院はセブランス・サムスンソウル・ソウル大学の3院に日本語サポート
体調が良いうちに、最寄りの日本語クリニックの連絡先と1339を携帯に登録しておく。NHIの保険証は届いたら財布に入れておく。
韓国は地理的にも制度的にも日本に最も近い海外。医療面での安心感が高いのは、韓国で生活する大きなメリットの一つ。
KAIスポット — みんなで作る現地情報
Kaigaijinでは、現地に住む日本人が実際に使っているスポット(レストラン・クリニック・美容室・不動産など)を国別に集めています。
「このクリニック、今も営業してる」「ここ、日本語対応なくなってた」——そういった一言が、次に来る人の役に立ちます。気づいたことがあれば、ぜひ情報を追加してください。