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生まれた町が45年間、身分証に印刷されていた国——住民登録番号の地域番号が消えた日

韓国の住民登録番号の後半6桁には、最初に番号を付与した邑面洞のコードが埋め込まれていた。2020年に45年ぶりに廃止された理由と、外国人登録番号との関係を読む。

2026-10-19
住民登録番号外国人登録制度差別韓国

韓国の住民登録番号は13桁である。前半6桁は生年月日、後半7桁の1桁目は性別と生まれた世紀を示す。ここまでは日本人にもよく知られている。

知られていないのは、後半7桁の残り6桁のうち4桁が、2020年9月まで「最初に番号を付与した邑・面・洞のコード」だったという点だ。番号を見れば、その人がどこで初めて住民登録をしたかがわかった。身分証に出生地が印刷されていたのと、実質的には同じことである。

4桁が持っていた情報

1975年に現行の付与体系が定まった。後半の構成は、性別1桁、地域表示4桁、登録順の連番1桁、検証番号1桁。地域表示の4桁は、市郡区と邑面洞を階層的に符号化していた。

つまり住民登録番号は、生年月日と性別と本籍地に近い情報を一枚のカードに固定する装置だった。コードの対応表は公開情報ではなかったが、対応関係は広く知られていた。番号を見せた相手が、その人の出身地域を推定できる状態が45年続いた。

問題は、韓国の地域が政治的・歴史的に強い意味を持っていることだ。慶尚道と全羅道の対立構図は、選挙の投票パターンから就職の場面まで影を落としてきたと長く議論されてきた。番号の4桁が、その情報を意図せず提供していた。

行政安全部が2020年に発表した改編の理由は、まさにこの点だった。特定地域出身者に対する差別の論議が提起されてきた、という説明である。

2020年10月からの変更

2020年10月以降、住民登録番号を新規に付与される場合、または変更する場合には、後半7桁のうち性別を示す1桁目を除いた6桁がランダムな番号になった。地域情報は入らない。

1975年から数えて45年ぶりの改編である。既存の保有者の番号は変わらない。したがって現在の韓国社会には、地域コードを含む番号を持つ人と、ランダム番号を持つ人が混在している。2020年10月より前に登録した人の番号からは、今も出身地域が読み取れる。

この「既存は据え置き、新規から変える」というやり方は、韓国の制度改編でよく見られるパターンだ。携帯番号を010に統一した過程も同じ構造で、新規流入を止めて時間で置き換えた。既存の保有者に不利益を与えないかわりに、完全な置き換えには一世代かかる。

外国人登録番号の位置

外国人が韓国に90日以上滞在する場合、外国人登録証とともに外国人登録番号が付与される。これも13桁で、前半6桁は生年月日、後半7桁の構成も似ている。

違いは後半の1桁目だ。韓国人の場合は男女と世紀の組み合わせで1〜4が使われる。外国人登録番号では5〜8が使われる。つまり後半の最初の数字を見れば、その番号が韓国人のものか外国人のものかがわかる。

この設計は実務上の意味を持つ。オンラインサービスの登録フォームで、住民登録番号の形式チェックに引っかかることがある。桁数は同じでも、検証ロジックが外国人登録番号に対応していない古いシステムが残っている。韓国のオンライン手続きで外国人が詰まる典型的なパターンの一つがここだ。

外国人登録証の取得手順自体は整理されているが、取得後にその番号が全てのシステムで受け入れられるとは限らない。番号を持っていることと、番号が機能することは別である。

番号が生活のどこに刺さっているか

韓国では住民登録番号が生活インフラの中核を担っている。銀行口座、携帯契約、健康保険、税務、不動産登記、オンライン会員登録。ほぼ全てがこの番号に紐づく。日本のマイナンバーよりも遥かに広く、かつ日常的に使われる。

だからこそ、番号から個人情報が漏れることの意味が大きい。生年月日と性別は本人が隠せない情報として諦めがつくかもしれないが、出身地域は違う。それは選択の余地があるはずの情報だ。

個人情報保護法の改正で住民登録番号の収集自体が厳しく制限されてきたのと並行して、番号の中身からも情報を抜く方向に動いた。番号を守るのではなく、番号に価値を持たせない設計へ舵を切ったと読める。

実務として知っておくこと

外国人として関係するのは次の点だ。外国人登録番号は住民登録番号と同等に扱われる場面と、そうでない場面がある。銀行や公共サービスでは原則同等だが、民間のオンラインサービスでは弾かれることがある。

また、韓国を離れて再入国した場合、同じ外国人登録番号が再付与されるかどうかはケースによる。長期の離国後に再取得すると番号が変わることがあるので、過去の番号に紐づいたサービスへのアクセスが切れる可能性がある。銀行口座を残して帰国する場合は、この点を確認しておくと後で困りにくい。

制度の詳細は変わりうるので、実際の手続きの際は出入国・外国人庁と行政安全部の最新の案内を確認してほしい。

こういう見方もできる

識別番号の設計は、その国が個人の何を「変えられない属性」として扱うかの表明でもある。

1975年の設計者は、生年月日と性別と出身地を、生涯変わらない三点セットとして番号に刻んだ。2020年の改編は、そのうち一つを「刻むべきではないもの」として抜いた。生年月日と性別は残ったので、それはまだ刻んでよいものとされている。

何を残し、何を抜くか。この線引きが45年間動かなかったこと、そして動いたときには一気に動いたことの両方が、制度というものの性質を示しているように思う。番号の桁は技術的な問題に見えて、実は社会が何を差別の原因と認めたかの記録である。

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