Kaigaijin
海外在住日本人のメディア
文化・社会構造の分析

バドミントンがマレーシアの「国民的スポーツ」になった理由——リー・チョンウェイと多民族社会の統合

マレーシアはバドミントンで世界トップクラスの強豪国だ。なぜ小国がこれほど強いのか。コミュニティスポーツとしての普及構造と、在住外国人が参加できる環境を整理する。

2026-07-28
バドミントンスポーツ文化リー・チョンウェイマレーシア

この記事の日本円換算は、1MYR≒34円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

マレーシアの人口は約3,300万人(推定)。同規模の国で、オリンピックのバドミントン競技に長年上位選手を輩出し続けている国はほとんどない。リー・チョンウェイ(Lee Chong Wei)は世界ランキング1位を通算338週保持したとされ(推定——正確な週数はBWF記録による)、マレーシア人が最もリスペクトするスポーツ選手の一人だ。

なぜバドミントンなのか。

コートのコストが低い

バドミントンの普及には、プレーのしやすさという構造的な理由がある。屋外の空き地にネットを張ればプレーできるため、装備コストが低く、都市・農村を問わず広まりやすい。

マレーシアの住宅地・コンドミニアム・コミュニティホールにはバドミントンコートが設置されているケースが多く、週末に誰かがコートでシャトルを打っている光景は普通だ。学校の体育でも標準的に教えられるため、人口全体に「できる」人が多い。

民族を超える競技

マレーシアのバドミントン選手は、マレー系・中国系・インド系の各民族から出ている。三大民族間の競争が分断を生むような文脈では、バドミントンは「共通の競技」として機能してきた。

リー・チョンウェイが世界で活躍した時代、彼の試合には民族を超えた国民的熱狂があった。「マレーシア人として応援できる存在」が、多民族社会に共有のアイデンティティを与えた側面がある。

在住外国人が参加できるか

KLでは、コミュニティバドミントングループが各地で活動している。多くがカジュアルな週末プレーで、友人・知人経由で参加できる場合が多い。

コンドミニアムに住んでいれば、共用のバドミントンコートが設備として含まれることが多く、そこで近隣住民と交流するきっかけになることもある。バドミントンは「マレーシア人との距離を縮める」最も身近なスポーツの一つだという在住者の声がある。

スポーツ観戦としてのバドミントン

ビドゥーリ・ワールドカップやBWFワールドツアーのマレーシア大会(マレーシアオープン)はKLで開催される。チケット代はスタンド席で数十MYRからとされ(推定)、日本の主要スポーツ観戦より安価にライブ観戦できる。

生まれ育った環境でなじみの薄かったスポーツが、暮らす国の「文化」として見え始めるのは、長期在住の醍醐味の一つだ。

コメント

読み込み中...