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プール付きなのに誰も泳がない——マレーシアのコンドの共用施設が映す豊かさの記号

マレーシアのコンドミニアムには立派なプールやジムがあるが、利用者は意外と少ない。施設の充実が「使うため」でなく「選ばれるため」にある構造を読み解く。

2026-08-23
コンドミニアム共用施設不動産暮らしマレーシア

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マレーシアでコンドミニアムを内覧すると、プール・ジム・サウナ・BBQエリア・子ども用の遊び場まで、共用施設の充実ぶりに驚く。日本の賃貸では考えにくい豪華さだ。ところが入居してみると、平日のプールは閑散としていることが多い。立派なのに使われていない。この矛盾には理由がある。

施設は「使うため」より「選ばれるため」

共用施設の本当の役割は、毎日使われることではない。物件が市場で選ばれるためのセールスポイントになることだ。プール付き、ジム付きという条件は、内覧者の心を動かし、賃料や販売価格を支える。

つまり施設は「使用価値」より「シグナル価値」で設計されている面がある。実際に泳ぐかどうかより、「泳げる物件に住んでいる」という事実が、住む人の満足と物件の価値を支える。豪華なロビーやプールは、暮らしの質の証明書のように機能している。

熱帯なのに使われない事情

皮肉なことに、熱帯だからこそ屋外プールが使いにくい時間帯も多い。日中は日差しが強く、夕方は突然のスコールがある。仕事を持つ在住者は、平日に泳ぐ時間そのものが取りにくい。結果として、施設は週末や夕方に部分的に使われる程度になる。

それでも施設があること自体に意味がある。子育て世帯にとっては週末の遊び場になり、内覧時には決め手になる。使用頻度の低さは、施設が無駄という意味ではない。

価値は使用量で測れない

物の価値を「どれだけ使うか」だけで測ると、立派な共用施設は無駄に見える。だが価値には、使うこと以外の側面がある。安心感、ステータス、選択肢があるという余裕。これらは使用頻度に表れない。

物件選びでは、施設の豪華さに目を奪われすぎないことも大切だ。自分が本当に使う施設は何か、その維持費が管理費に乗っていないか——使用価値とシグナル価値を分けて考えると、見栄えに惑わされず、暮らしに合った物件を選べるようになる。

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