Kaigaijin
お金・年金

マレーシアのEPF(従業員積立基金)——外国人労働者の掛け金と帰国時の引き出し

マレーシアのEPF(KWSP)について外国人向けに解説。加入の任意・義務の仕組み、掛け金率、Account 1・2・3の役割、帰国時の全額引き出し手続きとiAkaunの使い方。

2026-04-15
EPFKWSP積立基金退職金マレーシア移住

この記事の日本円換算は、1MYR≒33円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(MYR)の金額を基準にしてください。

マレーシアで働くと、給与から自動的に引かれるEPF(Employee Provident Fund / Kumpulan Wang Simpanan Pekerja: KWSP)という積立が発生します。帰国するときに全額引き出せることを知らずに放置するケースが少なくないため、仕組みを理解しておいて損はありません。

EPFとは何か

EPFはマレーシアの法定積立基金です。主に老後の資金として設計されています。雇用主と従業員の双方が拠出し、KWSP(EPFを管理する政府機関)が運用します。

外国人(Non-Malaysian)に対する扱いは、2009年の法改正で変更されました。

外国人の加入は任意加入

2009年の改正以降、外国人労働者のEPF加入は原則として任意(Optional)です。

ただし、「任意」とはいえ、雇用主が「外国人もEPFに加入させる」方針をとっている場合は、雇用契約にEPF拠出が含まれることがあります。その場合は実質的に加入することになります。

入社時に雇用契約書を確認し、EPF拠出の有無を把握しておくことが大切です。

掛け金率

2024年時点での掛け金率(任意加入の場合も同じ構造)は以下の通りです。

区分掛け金率(月給に対して)
従業員(Employee)9%
雇用主(Employer)月給5,000MYR以下: 13% / 5,000MYR超: 12%

出典: EPF Malaysia(https://www.kwsp.gov.my/)

つまり月給5,000MYR(約165,000円)の場合、従業員450MYR(約14,850円)+雇用主650MYR(約21,450円)、合計1,100MYR(約36,300円)が積み立てられます。

Account 1・2・3の仕組み

2024年に制度改革が行われ、EPFの口座は3つに分かれました。

Account 1(Akaun Persaraan / 引退口座): 拠出額の75%が入ります。55歳到達前は原則引き出し不可(一部特例あり)。

Account 2(Akaun Sejahtera / 福祉口座): 拠出額の15%。住宅購入、教育費、健康目的等に引き出せます。

Account 3(Akaun Fleksibel / 柔軟口座): 拠出額の10%。年間を通じて引き出し可能(月1回まで)。2024年5月から導入された新しい口座です。

外国人が帰国時に申請する「全額引き出し」は、この3つのアカウント全額を対象とします。

帰国時の全額引き出し手続き

マレーシア在住外国人がマレーシアを離れる際、残高全額を引き出せる制度があります。

申請条件:

  • マレーシア国籍でない
  • マレーシアの永住権(PR)を持っていない
  • マレーシアを永久に離れる意思がある

手続きの流れ:

  1. iAkaun(オンラインポータル)に登録・ログインする EPFのオンラインサービスiAkaun(https://i.kwsp.gov.my/)からアカウントを作成します。

  2. 「Withdrawal for Non-Malaysian Citizens Leaving Malaysia」を申請 iAkaunから「Pengeluaran Meninggalkan Malaysia(Bukan Warganegara)」を選択。

  3. 必要書類をアップロード

    • パスポートのコピー(出国日が確認できるページ)
    • 銀行口座情報(マレーシア国内口座、または海外送金先)
  4. 審査・支払い 審査通過後、指定口座に振り込まれます。処理時間は2〜4週間程度が目安です(要確認)。

注意点: マレーシア出国後でもオンラインで申請できますが、帰国後に手続きを忘れて残高を放置するケースがあります。残高が少額でも、出国前または出国直後に手続きしておくことをおすすめします。

日本との二重課税の問題

EPFの引き出し金額は、日本の税務上は「退職金」や「一時所得」として申告が必要になる場合があります。日本とマレーシアの間には租税条約があり、二重課税の調整が適用されます。

具体的な税務処理は金額・状況によって異なるため、税理士に確認することを検討してください。


EPFは「マレーシアを去るときに全額戻ってくる積立金」として理解しておくと、損をする心配がなくなります。iAkaunへの事前登録と残高確認は、帰国準備の一環として早めに済ませておくと安心です。

コメント

読み込み中...