MM2Hビザ、「夢の長期滞在」は2024年にどう変わったか
マレーシア・マイ・セカンド・ホームビザはかつて「世界最高のリタイアビザ」と呼ばれた。2021年以降の条件変更で現実はどう変わったか。2024〜2026年版の実態を整理する。
この記事の日本円換算は、1MYR≒33円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
「マレーシアで悠々自適に暮らせる夢のビザ」として、MM2Hはかつて日本人リタイア組に絶大な人気を誇っていた。月150万円の収入証明があれば申請できて、住んでいなくてもビザが維持される。それが2021年、一度廃止に近い状態になった。
条件が大幅に引き上げられ、「普通のリタイア組には無理」と言われるようになった。ところが2023年、新たな形で再始動した。その内容がまた変わっている。
2021年の「改悪」とは何だったか
改訂前のMM2H(2002〜2021年)は確かに条件が緩かった。
- 50歳以上: 月収証明10,000MYR(約33万円)、定期預金150,000MYR(約495万円)
- 50歳未満: 月収証明10,000MYR、定期預金500,000MYR(約1,650万円)
2021年の改訂でこれが跳ね上がった。定期預金が1,000,000MYR(約3,300万円)になり、毎年90日以上マレーシアに滞在することが義務化され、追加の不動産購入要件(2,000,000MYR相当)まで加わった。
「これは富裕層向けになった」という評価が広まり、申請者数は激減した。
2023年再設計:3つのカテゴリ制
2023年に再スタートしたMM2Hは、3つのカテゴリに分かれた。
シルバー(Standard)
- 定期預金: 500,000MYR(約1,650万円)
- 月収証明: 40,000MYR(約132万円)
- 不動産: 不要
- 毎年30日以上の滞在義務
ゴールド
- 定期預金: 1,000,000MYR(約3,300万円)
- 月収証明: 40,000MYR
- 不動産購入: 最低1,000,000MYR(約3,300万円)相当
- 追加特典: 就労許可の取得が可能
プラチナ
- 定期予金: 2,000,000MYR(約6,600万円)
- 不動産: 2,000,000MYR相当
- 優遇税制その他
日本人が現実的に検討できるのはシルバーカテゴリだが、定期預金500,000MYR+月収証明40,000MYRというのは、従来の基準より大幅に高い。現役世代で高収入の人か、ある程度の資産を持つリタイア層が対象になる。
実際に申請した人の声
在住日本人コミュニティで聞いてみると、2024〜2025年にかけてシルバーで申請・取得した人は少なくない。
ポイントとして挙がるのは:
申請代行費用が読みにくい。エージェント経由が一般的で、費用は15,000〜30,000MYR(約50〜100万円)程度。公式手数料より代行費のほうが高いことがある。
書類要件が変わりやすい。当局の窓口によって求められる書類が変わることがある。2024年申請者からは「追加書類を複数回求められた」という報告が出ている。
滞在30日義務は思ったより軽い。月1回の週末旅行レベルで維持できる計算になる。
MM2Hじゃなくてもいい選択肢
在住者の中には、MM2Hを取らずに他のルートで長期滞在している人も多い。
- DE Rantauビザ(デジタルノマドビザ): 月3,000USD相当以上の収入があれば申請可能。1年更新
- 就労ビザ(EP): 就職または自社設立を通じた取得
- 学生ビザ: 語学学校・大学院経由
MM2Hは「マレーシアでの生活基盤を長期に持つ」という目的に特化したビザで、就労制限(シルバーは原則不可)や定期預金の拘束が最大のトレードオフになる。
どのビザが合うかは、収入源・資産額・マレーシアでの生活計画によって変わる。現在の条件は複雑になっているので、最新情報を入国管理局(Immigration Department of Malaysia)の公式サイトまたは専門エージェントで確認することを勧める。