ラウンドアバウトだらけの国で運転して見えた、信号より「譲り合い」を選んだ理由
マレーシアの道路は環状交差点(ラウンドアバウト)が異常に多い。信号より交差点設計を優先した背景と、在住者が運転で戸惑うポイント、慣れるコツを整理する。
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マレーシアで車を運転すると、交差点のたびに「ぐるっと回る」設計に出くわす。信号のない環状交差点(ラウンドアバウト、現地ではブンダラン)が、住宅街から幹線道路まで至るところにある。日本の感覚だと、最初は怖い。
信号は止める、環状は流す
信号機は車を「止める」ことで秩序を作る。赤になれば全員が停まる。わかりやすいが、交通量が少ない時間でも待たされる。
ラウンドアバウトは逆で、車を「流す」ことで秩序を作る。すでに環内を走っている車に優先権があり、入る側が譲る。誰も完全には止まらず、隙間を見て合流していく。電気を使わず、停電にも強い。建設コストも維持コストも信号より軽い。
旧英領の国に環状交差点が多いのは、イギリス由来の道路文化を受け継いだ側面がある。マレーシアの道はその設計思想を色濃く残している。
戸惑うのは「優先権」の感覚
日本人が混乱するのは、「環内優先」のルールが体に染みていないからだ。環に入るとき、右から来る車(右側通行ではなく左側通行の国なので、回る向きは時計回り)に道を譲る。ここで一瞬ためらうと、後続車にクラクションを鳴らされる。
コツは3つ。環に近づいたら早めに速度を落とす。出口の一つ手前から左ウインカーを出す意思表示をする。そして「入れそうなら迷わず入る」。ためらいが一番危ない。
道路は、その国の合意形成の縮図
信号は「上から決められたルールに従う」社会の道具で、ラウンドアバウトは「その場の譲り合いで秩序を作る」社会の道具だ。どちらが優れているという話ではない。
マレーシアの道を回りながら運転していると、この国が日々の小さな交渉で物事を回している様子が見えてくる。慣れてしまえば、信号待ちのいらだちがない環状交差点はむしろ快適だ。最初の数週間さえ越えれば、回る道は味方になる。