マレーシアの野生動物——テングザル・オランウータンと都市の共存
マレーシアは都市と熱帯雨林が隣接する国。ボルネオのテングザル・オランウータンから、KL近郊に出没するサルまで、在住者が知っておくべき野生動物の現実を解説。
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KLのコンドミニアムのベランダに猿が来た——という話は在住者の間でも珍しくない。マレーシアは都市と熱帯雨林が文字通り隣接している国で、野生動物が「遠い存在」ではない。
ボルネオ(サバ州・サラワク州)の固有種
マレーシアの野生動物の象徴はボルネオ島だ。ここにしか生息しない固有種が多い。
**テングザル(Proboscis Monkey)**はボルネオ固有のサルで、オスの鼻が大きく突き出した外見が特徴的だ。コタキナバル郊外のクリアスリバー流域やサンダカン近郊のキナバタンガン川沿いで観察できる。個体数は少なく、IUCN絶滅危惧種(Endangered)に分類されている(出典:IUCN レッドリスト)。
**ボルネオオランウータン(Bornean Orangutan)**は世界最大の樹上生活類人猿だ。サバ州セピロク・オランウータン・リハビリテーション・センターでは保護・リハビリ中の個体を一定の距離から観察できる。入場料は大人30MYR(960円)程度(出典:セピロクOR公式サイト)。
半島マレーシアの都市近郊
KLから1〜2時間圏内でも野生動物に出会える環境がある。
フレイザーズヒル・ゲンティン高原周辺では鳥類の多様性が高く、バードウォッチャーの目的地になっている。タマンネガラ国立公園(パハン州)はマレーシア最大の熱帯雨林保護区で、ジャングルトレッキングでミナミコブラ・マレーバク・テナガザルの痕跡を見られることもある。
KL市内に近いところでは、サンウェイ周辺やアンパン・ヒルズ近くの住宅街でサル(ハヌマンラングール・カニクイザル)が屋根や電線を移動する光景がある。
都市のサル問題
カニクイザル(Long-tailed Macaque)はKL周辺の住宅地に一定数生息しており、食べ物目当てでベランダや窓から侵入するケースがある。コンドミニアム在住者の間では「窓を開けたまま外出しない」「食べ物をベランダに放置しない」が基本ルールだ。
威嚇してくることもあるため、目を合わせない・近づかない・食べ物を見せないが基本対応だ。むやみに餌を与えると個体が定住化し、問題行動が増えるとされている(出典:マレーシア野生動物・国立公園局PERHILITAN)。
在住者として知っておくべきこと
マレーシアで野生動物の保護は比較的強く規制されている。野生動物の捕獲・売買・傷つけは「野生動物保護法1972(Wildlife Conservation Act 2010)」の下で厳しく罰せられる(出典:マレーシア法務局)。ペット用に捕獲・販売される動物を購入しないことが、在住者としての最低限の責任だ。
ボルネオへの旅行は、KL在住者に特にお勧めしたい選択肢だ。コタキナバル・クチン・サンダカンへのフライトは1〜2時間で、LCCなら往復200〜500MYR(6,400〜16,000円)程度から出ている。