マレーシアの就労ビザ——Employment PassとProfessional Visitの違いと申請の現実
マレーシアで外国人が働くには雇用主経由のEmployment Pass(EP)が基本。必要条件・給与要件・申請フロー・更新・MM2Hとの違いを整理した実用ガイド。
この記事の日本円換算は、1MYR≒32円で計算しています(2026年4月時点)。
マレーシアで外国人が合法的に就労するための主要ビザが**Employment Pass(EP)**だ。雇用主(会社)がスポンサーになって申請する形式で、個人が単独で申請することはできない。
Employment Passの区分
EPはカテゴリ1〜3に分かれており、給与・雇用期間・職種によって区分が変わる(出典:エクスパットリエイツ・マレーシア 人材省公式情報)。
| カテゴリ | 月給要件 | 有効期間 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Category 1 | 10,000MYR以上(約32万円) | 最長5年 | 高度専門職・管理職 |
| Category 2 | 5,000〜9,999MYR | 最長2年 | 中級専門職 |
| Category 3 | 3,000〜4,999MYR | 最長12ヶ月 | 特定職種・技術職 |
2023年以降、給与要件が引き上げられており、最新の要件はExpatriate Services Division(ESD)の公式サイトで確認が必要だ。
申請フロー(雇用主側の手続き)
- ESD(Expatriate Services Division)へのオンライン申請(会社が申請者として登録する)
- ジョブポスティング要件: マレーシア人材省(MOHR)が運営するJobsMalaysia等のポータルで、一定期間ローカル採用を試みた記録が求められることがある(ローカル優先雇用の原則)
- 申請書類提出: 学歴証明・雇用契約書・会社登録書類等
- 処理期間: 標準で3〜8週間
Professional Visit Pass(PVP)との違い
**PVP(Professional Visit Pass)**は短期(最大1年)の専門的な訪問・技術移転目的のビザで、EPとは異なる。マレーシアの会社に直接雇用されるのではなく、外部専門家として業務を行う場合等に使われる。
「トレーニング・プロジェクト参加・技術指導」等の目的に適しているが、EPより制限が多い。
申請に必要な書類(個人)
- パスポート(有効期間18ヶ月以上が望ましい)
- 学歴証明書(大学卒業証明・成績証明等)
- 雇用契約書
- 職歴証明書
- 証明写真
学歴証明書は公証・認証が必要な場合がある(日本の大学卒業証書は日本外務省の公証→マレーシア大使館での認証の手順が発生することがある)。
更新と家族帯同
EPの更新は雇用継続・給与要件の維持が条件になる。転職の場合は新しい雇用主のもとで再申請が必要だ。
配偶者・子どもの帯同には**Dependent Pass(DP)**が必要で、EPホルダーがスポンサーになる。DPで入国した配偶者がマレーシアで就労するには、別途就労許可(DP附帯の就労許可)の申請が必要になる場合がある。
「マレーシアで働く」を計画するなら、給与交渉の段階でEP取得の見込みも並行して雇用主と確認しておくのが重要だ。EPが取れないポジションへの就職は、そもそも合法的な就労ができない。