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銀行・金融

マレーシアの銀行口座開設ガイド——ビザ別の条件・必要書類・Maybank・CIMBの選び方

マレーシアで銀行口座を開くには有効なビザが必要。就労ビザ・MM2H・学生ビザ別の条件と必要書類、Maybank・CIMB・Public Bankなど主要銀行の比較、手数料・海外送金・モバイルアプリまで日本人向けに解説。

2026-03-27
銀行口座MaybankCIMBPublic Bank送金

この記事の日本円換算は、1MYR≒40円で計算しています(2026年3月時点)。為替は変動するので、現地通貨(MYR)の金額を基準にしてください。

マレーシアで銀行口座を開くのに、最低預入額はRM20(約800円)から。日本の銀行口座とほぼ同じ感覚で作れる。

ただし、外国人の口座開設には「有効なビザ」が必要。観光ビザでは原則開設できない。就労ビザ(Employment Pass)、MM2Hビザ、学生ビザなど、長期滞在の根拠となるビザがあることが前提になる。

この記事では、マレーシアの主要銀行の比較から、ビザ別の必要書類、手数料、海外送金、モバイルバンキングまでをまとめた。これから渡航する人も、すでに現地にいる人も、口座開設前に一通り目を通しておくと手続きがスムーズになる。

主要銀行5行——日本人にとっての使いやすさ

マレーシアの銀行は大手だけで10行以上あるが、日本人が実際に使うのはほぼ以下の5行に絞られる。

Maybank(メイバンク)

マレーシア最大の銀行。ATMと支店の数が圧倒的に多く、どこにいても困らない。マレーシアで生活するなら、まず候補に入る銀行。

モバイルアプリ「MAE by Maybank2u」はDuitNow QR対応で、屋台やコンビニでもQRコード決済ができる。外国人の口座開設にも対応しており、支店での手続きが基本。

  • ATM数: 国内最多(2,500台以上)
  • 最低預入額: RM20(約800円)〜
  • モバイルアプリ: MAE by Maybank2u(DuitNow QR対応)
  • 外国人対応: 支店で開設可能

CIMB(シーアイエムビー)

マレーシア第2位の銀行。ASEAN各国に展開しており、マレーシア国外への送金や、他のASEAN諸国でもATMが使える利便性がある。

外国人向けの口座開設にも積極的で、一部の口座タイプはオンラインで申請を開始できる(ただし書類提出は支店で行う場合がある)。

  • ATM数: 国内第2位
  • 最低預入額: RM20(約800円)〜
  • モバイルアプリ: CIMB OCTO(DuitNow QR対応)
  • 外国人対応: 支店で開設可能。一部オンライン申請あり

Public Bank(パブリックバンク)

マレーシアで最も財務基盤が安定している銀行の一つ。定期預金の金利が比較的高く、資産運用目的で選ぶ人も多い。

外国人の口座開設には、既存顧客の紹介(introducer)が求められるケースがある。これが少しハードルになるが、職場の同僚やエージェントに頼めば解決できることが多い。

  • ATM数: 国内第3位
  • 最低預入額: RM20(約800円)〜
  • モバイルアプリ: PB engage(DuitNow QR対応)
  • 外国人対応: 支店で開設。紹介者が必要な場合あり

RHB Bank(アールエイチビー)

ASEAN展開を強化している中堅大手。オンラインでの口座開設に対応しており、RHBモバイルアプリからの申請が可能(マレーシアの電話番号が必要)。

外国人向けの対応は支店によって差があるが、KLの主要支店であれば英語対応も問題ない。

  • ATM数: 中規模
  • 最低預入額: RM20(約800円)〜
  • モバイルアプリ: RHB Mobile Banking(DuitNow QR対応)
  • 外国人対応: 支店で開設可能。一部オンライン申請あり

Hong Leong Bank(ホンリョンバンク)

多通貨口座に対応しており、複数の通貨を一つの口座で管理できる。駐在員で日本円やUSドルを頻繁に扱う人には便利な選択肢。

  • ATM数: 中規模
  • 最低預入額: RM20(約800円)〜
  • モバイルアプリ: Hong Leong Connect(DuitNow QR対応)
  • 外国人対応: 支店で開設可能

5行比較表

銀行ATM数最低預入額外国人開設特徴
Maybank最多RM20〜支店・ATM数が圧倒的。まず持っておきたい口座
CIMB第2位RM20〜ASEAN展開。一部オンライン申請可
Public Bank第3位RM20〜△(紹介者要)定期預金の金利が高い。財務基盤が安定
RHB中規模RM20〜オンライン申請対応。中堅大手
Hong Leong中規模RM20〜多通貨口座に対応

日本人駐在員や移住者に最も多く使われているのはMaybankとCIMB。迷ったらMaybankで口座を作り、必要に応じてCIMBやPublic Bankをサブ口座として追加するのが定番のパターン。

口座開設の条件・必要書類——ビザ別に解説

マレーシアの銀行口座開設で最も重要なのは「どのビザを持っているか」。ビザの種類によって必要書類が変わる。

共通で必要な書類

どのビザでも以下は共通で求められる。

  • パスポート原本(有効期限6ヶ月以上)
  • ビザ/パスのコピー(パスポートに貼付されたビザページ)
  • マレーシアの住所証明(賃貸契約書、公共料金の請求書など)
  • マレーシアの携帯電話番号(SMS認証に使用)
  • 納税者番号(TIN)(2025年以降、主要銀行で提出を求められるケースが増加)

就労ビザ(Employment Pass)の場合

駐在員・現地採用で最も一般的なケース。追加で以下が必要。

  • 雇用主からの雇用証明書(Employment Letter)
  • Employment Passのコピー

会社の人事部がサポートしてくれることが多い。着任後すぐに口座開設の手続きに動くのがおすすめ。給与の振込先を銀行に指定する必要があるので、着任から1〜2週間以内に開設するのが一般的。

MM2Hビザの場合

長期滞在・退職移住者向けのビザ。追加で以下が必要。

  • MM2H承認レターのコピー
  • MM2Hパスのコピー

MM2Hビザ保有者はマレーシアの銀行での口座開設がスムーズ。定期預金の条件(MM2Hビザの要件として、Silver:USD15万、Gold:USD50万、Platinum:USD100万の定期預金が必要)もあるため、銀行側も積極的に対応してくれる。

学生ビザの場合

大学・語学学校に通う場合。追加で以下が必要。

  • 大学・学校からの在学証明書
  • 学生パスのコピー

学生向けの口座は手数料が優遇されるケースがある。MaybankやCIMBは学生向けプランを用意している。

観光ビザ(ビザなし入国)の場合

原則、観光ビザ(または90日以内のビザ免除入国)では口座開設できない。一部の銀行で例外的に対応するケースがあるという情報もあるが、基本的には長期滞在ビザが必須と考えておいた方がいい。

口座の種類

マレーシアの銀行口座は、大きく分けて以下の4種類。

普通預金口座(Savings Account)

日常的な入出金に使う口座。ATM引き出し、DuitNow QR決済、口座振替などに対応。ほとんどの人がまず開設するのがこれ。

金利は年0.25〜1.50%程度。日本の普通預金(0.001%)と比べるとかなり高い。

当座預金口座(Current Account)

小切手が使える口座。ビジネス用途や家賃支払いで小切手が必要な場合に開設する。個人で使う場面は少ない。

定期預金口座(Fixed Deposit)

一定期間預け入れることで高金利が得られる口座。2026年3月時点の主要銀行の定期預金金利はボード金利で年1.75〜2.15%程度。キャンペーン期間中は3%台になる場合もある。預入期間は1ヶ月〜60ヶ月。

MM2Hビザ保有者はビザの条件として定期預金が必要なので、必然的にこの口座を開設することになる。

外貨預金口座(Foreign Currency Account)

USドル、日本円、ユーロなどの外貨をマレーシア国内の口座で管理できる。Public BankやHong Leong Bankなどが対応。最低預入額はUSD1,000相当が目安。

為替リスクのヘッジや、海外送金の中継として使う人が多い。

手数料・最低預入額

マレーシアの銀行手数料は日本と比べてかなり安い。

項目目安
口座維持手数料基本無料(最低残高を維持する場合)
最低預入額RM20(約800円)〜
ATM引き出し(自行)無料
ATM引き出し(他行)RM1(約40円)/回
ATMカード年会費無料〜RM8(約320円)/年
オンライン振込(国内)無料〜RM0.50(約20円)/回
口座休眠手数料RM10(約400円)/年(12ヶ月以上取引なしの場合)

最低残高を下回った場合

Maybankの場合、Basic Savings Accountの最低残高はRM20。これを維持していれば口座維持手数料は無料。CIMBも同様にRM20が最低残高。

実質的に、口座にRM100(約4,000円)程度入れておけば、手数料を気にする場面はほぼない。

海外送金——マレーシア↔日本

銀行経由の送金

マレーシアの銀行から日本へ送金する場合、手数料はRM20〜50(約800〜2,000円)程度。ただし、銀行の為替レートには1〜3%のスプレッド(上乗せ)が含まれることが多い。100万円規模の送金だと、スプレッドだけで1〜3万円の差が出る。

逆に、日本からマレーシアへの送金は、日本の銀行の海外送金手数料が3,000〜7,000円程度かかる。

Wise(ワイズ)を使う

銀行送金よりも為替レートが有利で、手数料も透明なのがWise。ミッドマーケットレート(仲値)で両替でき、手数料は送金額の0.5〜1.5%程度。

たとえば日本からマレーシアへ50万円送る場合、銀行送金だと手数料+スプレッドで1万円以上かかることがあるが、Wiseなら数千円で済むことが多い。

Wiseはマレーシアの銀行口座への着金に対応しており、MaybankやCIMBの口座に直接入金できる。日本の銀行口座への送金も同様。マレーシア在住の日本人にとって、日本との送金ルートとしてはWiseが最も使われている手段の一つ。

送金時の注意点

  • マレーシアの外国為替管理: マレーシアから海外への送金は、MYR以外の通貨であれば基本的に制限なし。ただし、MYR建ての海外送金には制限がある(個人はRM100万/年まで)
  • 日本の税務申告: 海外送金100万円超は銀行から税務署に「国外送金等調書」が提出される。合法的な送金であれば問題ないが、税務調査の対象になる可能性がある点は知っておく

モバイルバンキング——DuitNow・Touch 'n Go eWallet

マレーシアのキャッシュレス化は急速に進んでいる。KLの屋台でもQRコード決済が使えるようになった。

DuitNow QR

マレーシアの統一QRコード決済規格。PayNet(マレーシアの決済インフラ運営会社)が運営しており、250万以上の加盟店で使える。

Maybank、CIMB、Public Bank、RHB、Hong Leongなど主要銀行のモバイルアプリはすべてDuitNow QRに対応。銀行口座を開設すれば、そのアプリでQR決済ができる。友人間の送金もDuitNow IDで即時送金可能。

Touch 'n Go eWallet(TNG eWallet)

マレーシアで最も普及している電子ウォレット。銀行口座がなくても使える。高速道路の通行料(Touch 'n Goカード)、公共交通機関、コンビニ、飲食店など、幅広い場面で使える。

2025年からASEAN各国の旅行者も登録できるようになった。外国の携帯番号でも登録でき、海外発行のクレジットカード/デビットカードからチャージ可能。

銀行口座があればTNG eWalletへの自動チャージも設定できる。日常的な少額決済はTNG eWallet、大きな支払いは銀行アプリと使い分けるのが便利。

GrabPay

配車アプリGrabの決済機能。Grab利用者なら追加登録不要でそのまま使える。DuitNow QRにも対応しており、Grab以外の店舗でも決済可能。

クロスボーダーQR決済

DuitNow QRはシンガポール(PayNow)、タイ(PromptPay)、インドネシア(QRIS)、中国(Alipay+)、韓国、カンボジアとのクロスボーダー決済に対応。マレーシアの銀行口座があれば、これらの国でもQRコード決済が使える場面が増えている。

注意点——外国人口座で知っておくべきこと

口座の休眠・凍結

12ヶ月以上取引がない口座は「休眠口座(Dormant Account)」として凍結される。凍結されると入出金ができなくなり、年RM10の手数料が差し引かれる。

再開には支店での本人確認が必要。マレーシア国外にいる場合は支店に行けないので、帰国・一時帰国の際に対応することになる。

さらに、7年以上放置すると残高がマレーシア政府の「未請求金登録局(Registrar of Unclaimed Money)」に移管される。移管後も請求は可能だが、手続きが煩雑になる。

対策: 最低でも半年に1回はATM引き出しやオンライン振込など、自分で発動する取引を行う。自動引き落としだけではカウントされない場合がある。

帰国時の口座対応

マレーシアを離れる際の選択肢は3つ。

  1. 口座を維持する: ビザが失効しても口座は即座に閉鎖されない。残高を残しておけば、再渡航時にそのまま使える。ただし12ヶ月ルールに注意
  2. 口座を閉鎖する: 支店で手続き。残高は海外送金で日本の口座に送るか、現金で引き出す。閉鎖手数料は基本無料
  3. 残高をゼロにして放置: 残高RM10以下で休眠すると銀行が自動閉鎖する。意図的にこの方法を取る人もいる

おすすめは、将来マレーシアに戻る可能性があるなら1(維持)。戻る予定がないなら2(閉鎖)。中途半端に放置すると休眠手数料で残高が減っていくので、どちらかに決めておく方がいい。

TIN(納税者番号)の提出

2025年以降、マレーシアの主要銀行は外国人の口座開設時にTIN(Tax Identification Number)の提出を求めるようになった。マレーシアのTINを持っていない場合は、日本のマイナンバーや居住国の納税者番号を提出する。

支店選び

外国人の口座開設は、支店によって対応がまちまち。KLの中心部(KLCC、Bukit Bintang周辺)や日本人が多いエリア(モントキアラ)の支店は外国人対応に慣れているが、郊外の支店だと「外国人は受け付けていない」と言われることもある。

最初からKL中心部の大きめの支店に行くのが確実。会社の人事部や不動産エージェントに「外国人対応に慣れている支店」を聞くのも有効。

イスラム銀行口座

マレーシアはイスラム金融の世界的な中心地でもある。Maybank Islamic、CIMB Islamic、Public Islamic Bankなど、主要銀行にはイスラム銀行部門がある。

イスラム銀行口座は利子(interest)ではなく利益配分(hibah/profit sharing)という仕組みで、シャリア法に準拠している。口座の使い勝手は通常の口座とほぼ同じで、ATM、モバイルバンキング、DuitNow QRもすべて使える。

宗教に関係なく誰でも開設可能。実際に、利益配分率が通常の金利より有利なケースもあり、非ムスリムの外国人が選ぶこともある。

まとめ——口座開設の手順

  1. ビザを取得する(就労ビザ、MM2H、学生ビザなど)
  2. マレーシアの携帯電話番号を取得する(DiGi、Maxis、Celcomなど。空港で即日購入可能)
  3. 必要書類を揃える(パスポート、ビザ、住所証明、雇用証明書など)
  4. KL中心部の支店に行く(Maybank or CIMBがおすすめ)
  5. 口座開設(通常1時間程度で完了)
  6. モバイルアプリをセットアップする(DuitNow QR、オンラインバンキング)
  7. Touch 'n Go eWalletも登録する(日常の少額決済用)

書類が揃っていれば、支店に行ったその日に口座が使えるようになる。日本の銀行のように「1週間後にキャッシュカードが届く」ということはなく、その場でカードが発行される銀行がほとんど。

マレーシアの銀行サービスは、手数料の安さ・モバイルバンキングの充実度・金利の高さのいずれも日本より優れている部分が多い。口座開設後はDuitNow QRとTNG eWalletのセットアップまで済ませておくと、現地生活の立ち上がりがかなり早くなる。


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