マレーシアの銀行口座開設ガイド——ビザ別の条件・必要書類・Maybank・CIMBの選び方
マレーシアで銀行口座を開くには有効なビザが必要。就労ビザ・MM2H・学生ビザ別の条件と必要書類、Maybank・CIMB・Public Bankなど主要銀行の比較、手数料・海外送金・モバイルアプリまで日本人向けに解説。
この記事の日本円換算は、1MYR≒40円で計算しています(2026年3月時点)。為替は変動するので、現地通貨(MYR)の金額を基準にしてください。
マレーシアで銀行口座を開くのに、最低預入額はRM20(約800円)から。日本の銀行口座とほぼ同じ感覚で作れる。
ただし、外国人の口座開設には「有効なビザ」が必要。観光ビザでは原則開設できない。就労ビザ(Employment Pass)、MM2Hビザ、学生ビザなど、長期滞在の根拠となるビザがあることが前提になる。
この記事では、マレーシアの主要銀行の比較から、ビザ別の必要書類、手数料、海外送金、モバイルバンキングまでをまとめた。これから渡航する人も、すでに現地にいる人も、口座開設前に一通り目を通しておくと手続きがスムーズになる。
主要銀行5行——日本人にとっての使いやすさ
マレーシアの銀行は大手だけで10行以上あるが、日本人が実際に使うのはほぼ以下の5行に絞られる。
Maybank(メイバンク)
マレーシア最大の銀行。ATMと支店の数が圧倒的に多く、どこにいても困らない。マレーシアで生活するなら、まず候補に入る銀行。
モバイルアプリ「MAE by Maybank2u」はDuitNow QR対応で、屋台やコンビニでもQRコード決済ができる。外国人の口座開設にも対応しており、支店での手続きが基本。
- ATM数: 国内最多(2,500台以上)
- 最低預入額: RM20(約800円)〜
- モバイルアプリ: MAE by Maybank2u(DuitNow QR対応)
- 外国人対応: 支店で開設可能
CIMB(シーアイエムビー)
マレーシア第2位の銀行。ASEAN各国に展開しており、マレーシア国外への送金や、他のASEAN諸国でもATMが使える利便性がある。
外国人向けの口座開設にも積極的で、一部の口座タイプはオンラインで申請を開始できる(ただし書類提出は支店で行う場合がある)。
- ATM数: 国内第2位
- 最低預入額: RM20(約800円)〜
- モバイルアプリ: CIMB OCTO(DuitNow QR対応)
- 外国人対応: 支店で開設可能。一部オンライン申請あり
Public Bank(パブリックバンク)
マレーシアで最も財務基盤が安定している銀行の一つ。定期預金の金利が比較的高く、資産運用目的で選ぶ人も多い。
外国人の口座開設には、既存顧客の紹介(introducer)が求められるケースがある。これが少しハードルになるが、職場の同僚やエージェントに頼めば解決できることが多い。
- ATM数: 国内第3位
- 最低預入額: RM20(約800円)〜
- モバイルアプリ: PB engage(DuitNow QR対応)
- 外国人対応: 支店で開設。紹介者が必要な場合あり
RHB Bank(アールエイチビー)
ASEAN展開を強化している中堅大手。オンラインでの口座開設に対応しており、RHBモバイルアプリからの申請が可能(マレーシアの電話番号が必要)。
外国人向けの対応は支店によって差があるが、KLの主要支店であれば英語対応も問題ない。
- ATM数: 中規模
- 最低預入額: RM20(約800円)〜
- モバイルアプリ: RHB Mobile Banking(DuitNow QR対応)
- 外国人対応: 支店で開設可能。一部オンライン申請あり
Hong Leong Bank(ホンリョンバンク)
多通貨口座に対応しており、複数の通貨を一つの口座で管理できる。駐在員で日本円やUSドルを頻繁に扱う人には便利な選択肢。
- ATM数: 中規模
- 最低預入額: RM20(約800円)〜
- モバイルアプリ: Hong Leong Connect(DuitNow QR対応)
- 外国人対応: 支店で開設可能
5行比較表
| 銀行 | ATM数 | 最低預入額 | 外国人開設 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Maybank | 最多 | RM20〜 | ○ | 支店・ATM数が圧倒的。まず持っておきたい口座 |
| CIMB | 第2位 | RM20〜 | ○ | ASEAN展開。一部オンライン申請可 |
| Public Bank | 第3位 | RM20〜 | △(紹介者要) | 定期預金の金利が高い。財務基盤が安定 |
| RHB | 中規模 | RM20〜 | ○ | オンライン申請対応。中堅大手 |
| Hong Leong | 中規模 | RM20〜 | ○ | 多通貨口座に対応 |
日本人駐在員や移住者に最も多く使われているのはMaybankとCIMB。迷ったらMaybankで口座を作り、必要に応じてCIMBやPublic Bankをサブ口座として追加するのが定番のパターン。
口座開設の条件・必要書類——ビザ別に解説
マレーシアの銀行口座開設で最も重要なのは「どのビザを持っているか」。ビザの種類によって必要書類が変わる。
共通で必要な書類
どのビザでも以下は共通で求められる。
- パスポート原本(有効期限6ヶ月以上)
- ビザ/パスのコピー(パスポートに貼付されたビザページ)
- マレーシアの住所証明(賃貸契約書、公共料金の請求書など)
- マレーシアの携帯電話番号(SMS認証に使用)
- 納税者番号(TIN)(2025年以降、主要銀行で提出を求められるケースが増加)
就労ビザ(Employment Pass)の場合
駐在員・現地採用で最も一般的なケース。追加で以下が必要。
- 雇用主からの雇用証明書(Employment Letter)
- Employment Passのコピー
会社の人事部がサポートしてくれることが多い。着任後すぐに口座開設の手続きに動くのがおすすめ。給与の振込先を銀行に指定する必要があるので、着任から1〜2週間以内に開設するのが一般的。
MM2Hビザの場合
長期滞在・退職移住者向けのビザ。追加で以下が必要。
- MM2H承認レターのコピー
- MM2Hパスのコピー
MM2Hビザ保有者はマレーシアの銀行での口座開設がスムーズ。定期預金の条件(MM2Hビザの要件として、Silver:USD15万、Gold:USD50万、Platinum:USD100万の定期預金が必要)もあるため、銀行側も積極的に対応してくれる。
学生ビザの場合
大学・語学学校に通う場合。追加で以下が必要。
- 大学・学校からの在学証明書
- 学生パスのコピー
学生向けの口座は手数料が優遇されるケースがある。MaybankやCIMBは学生向けプランを用意している。
観光ビザ(ビザなし入国)の場合
原則、観光ビザ(または90日以内のビザ免除入国)では口座開設できない。一部の銀行で例外的に対応するケースがあるという情報もあるが、基本的には長期滞在ビザが必須と考えておいた方がいい。
口座の種類
マレーシアの銀行口座は、大きく分けて以下の4種類。
普通預金口座(Savings Account)
日常的な入出金に使う口座。ATM引き出し、DuitNow QR決済、口座振替などに対応。ほとんどの人がまず開設するのがこれ。
金利は年0.25〜1.50%程度。日本の普通預金(0.001%)と比べるとかなり高い。
当座預金口座(Current Account)
小切手が使える口座。ビジネス用途や家賃支払いで小切手が必要な場合に開設する。個人で使う場面は少ない。
定期預金口座(Fixed Deposit)
一定期間預け入れることで高金利が得られる口座。2026年3月時点の主要銀行の定期預金金利はボード金利で年1.75〜2.15%程度。キャンペーン期間中は3%台になる場合もある。預入期間は1ヶ月〜60ヶ月。
MM2Hビザ保有者はビザの条件として定期預金が必要なので、必然的にこの口座を開設することになる。
外貨預金口座(Foreign Currency Account)
USドル、日本円、ユーロなどの外貨をマレーシア国内の口座で管理できる。Public BankやHong Leong Bankなどが対応。最低預入額はUSD1,000相当が目安。
為替リスクのヘッジや、海外送金の中継として使う人が多い。
手数料・最低預入額
マレーシアの銀行手数料は日本と比べてかなり安い。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 口座維持手数料 | 基本無料(最低残高を維持する場合) |
| 最低預入額 | RM20(約800円)〜 |
| ATM引き出し(自行) | 無料 |
| ATM引き出し(他行) | RM1(約40円)/回 |
| ATMカード年会費 | 無料〜RM8(約320円)/年 |
| オンライン振込(国内) | 無料〜RM0.50(約20円)/回 |
| 口座休眠手数料 | RM10(約400円)/年(12ヶ月以上取引なしの場合) |
最低残高を下回った場合
Maybankの場合、Basic Savings Accountの最低残高はRM20。これを維持していれば口座維持手数料は無料。CIMBも同様にRM20が最低残高。
実質的に、口座にRM100(約4,000円)程度入れておけば、手数料を気にする場面はほぼない。
海外送金——マレーシア↔日本
銀行経由の送金
マレーシアの銀行から日本へ送金する場合、手数料はRM20〜50(約800〜2,000円)程度。ただし、銀行の為替レートには1〜3%のスプレッド(上乗せ)が含まれることが多い。100万円規模の送金だと、スプレッドだけで1〜3万円の差が出る。
逆に、日本からマレーシアへの送金は、日本の銀行の海外送金手数料が3,000〜7,000円程度かかる。
Wise(ワイズ)を使う
銀行送金よりも為替レートが有利で、手数料も透明なのがWise。ミッドマーケットレート(仲値)で両替でき、手数料は送金額の0.5〜1.5%程度。
たとえば日本からマレーシアへ50万円送る場合、銀行送金だと手数料+スプレッドで1万円以上かかることがあるが、Wiseなら数千円で済むことが多い。
Wiseはマレーシアの銀行口座への着金に対応しており、MaybankやCIMBの口座に直接入金できる。日本の銀行口座への送金も同様。マレーシア在住の日本人にとって、日本との送金ルートとしてはWiseが最も使われている手段の一つ。
送金時の注意点
- マレーシアの外国為替管理: マレーシアから海外への送金は、MYR以外の通貨であれば基本的に制限なし。ただし、MYR建ての海外送金には制限がある(個人はRM100万/年まで)
- 日本の税務申告: 海外送金100万円超は銀行から税務署に「国外送金等調書」が提出される。合法的な送金であれば問題ないが、税務調査の対象になる可能性がある点は知っておく
モバイルバンキング——DuitNow・Touch 'n Go eWallet
マレーシアのキャッシュレス化は急速に進んでいる。KLの屋台でもQRコード決済が使えるようになった。
DuitNow QR
マレーシアの統一QRコード決済規格。PayNet(マレーシアの決済インフラ運営会社)が運営しており、250万以上の加盟店で使える。
Maybank、CIMB、Public Bank、RHB、Hong Leongなど主要銀行のモバイルアプリはすべてDuitNow QRに対応。銀行口座を開設すれば、そのアプリでQR決済ができる。友人間の送金もDuitNow IDで即時送金可能。
Touch 'n Go eWallet(TNG eWallet)
マレーシアで最も普及している電子ウォレット。銀行口座がなくても使える。高速道路の通行料(Touch 'n Goカード)、公共交通機関、コンビニ、飲食店など、幅広い場面で使える。
2025年からASEAN各国の旅行者も登録できるようになった。外国の携帯番号でも登録でき、海外発行のクレジットカード/デビットカードからチャージ可能。
銀行口座があればTNG eWalletへの自動チャージも設定できる。日常的な少額決済はTNG eWallet、大きな支払いは銀行アプリと使い分けるのが便利。
GrabPay
配車アプリGrabの決済機能。Grab利用者なら追加登録不要でそのまま使える。DuitNow QRにも対応しており、Grab以外の店舗でも決済可能。
クロスボーダーQR決済
DuitNow QRはシンガポール(PayNow)、タイ(PromptPay)、インドネシア(QRIS)、中国(Alipay+)、韓国、カンボジアとのクロスボーダー決済に対応。マレーシアの銀行口座があれば、これらの国でもQRコード決済が使える場面が増えている。
注意点——外国人口座で知っておくべきこと
口座の休眠・凍結
12ヶ月以上取引がない口座は「休眠口座(Dormant Account)」として凍結される。凍結されると入出金ができなくなり、年RM10の手数料が差し引かれる。
再開には支店での本人確認が必要。マレーシア国外にいる場合は支店に行けないので、帰国・一時帰国の際に対応することになる。
さらに、7年以上放置すると残高がマレーシア政府の「未請求金登録局(Registrar of Unclaimed Money)」に移管される。移管後も請求は可能だが、手続きが煩雑になる。
対策: 最低でも半年に1回はATM引き出しやオンライン振込など、自分で発動する取引を行う。自動引き落としだけではカウントされない場合がある。
帰国時の口座対応
マレーシアを離れる際の選択肢は3つ。
- 口座を維持する: ビザが失効しても口座は即座に閉鎖されない。残高を残しておけば、再渡航時にそのまま使える。ただし12ヶ月ルールに注意
- 口座を閉鎖する: 支店で手続き。残高は海外送金で日本の口座に送るか、現金で引き出す。閉鎖手数料は基本無料
- 残高をゼロにして放置: 残高RM10以下で休眠すると銀行が自動閉鎖する。意図的にこの方法を取る人もいる
おすすめは、将来マレーシアに戻る可能性があるなら1(維持)。戻る予定がないなら2(閉鎖)。中途半端に放置すると休眠手数料で残高が減っていくので、どちらかに決めておく方がいい。
TIN(納税者番号)の提出
2025年以降、マレーシアの主要銀行は外国人の口座開設時にTIN(Tax Identification Number)の提出を求めるようになった。マレーシアのTINを持っていない場合は、日本のマイナンバーや居住国の納税者番号を提出する。
支店選び
外国人の口座開設は、支店によって対応がまちまち。KLの中心部(KLCC、Bukit Bintang周辺)や日本人が多いエリア(モントキアラ)の支店は外国人対応に慣れているが、郊外の支店だと「外国人は受け付けていない」と言われることもある。
最初からKL中心部の大きめの支店に行くのが確実。会社の人事部や不動産エージェントに「外国人対応に慣れている支店」を聞くのも有効。
イスラム銀行口座
マレーシアはイスラム金融の世界的な中心地でもある。Maybank Islamic、CIMB Islamic、Public Islamic Bankなど、主要銀行にはイスラム銀行部門がある。
イスラム銀行口座は利子(interest)ではなく利益配分(hibah/profit sharing)という仕組みで、シャリア法に準拠している。口座の使い勝手は通常の口座とほぼ同じで、ATM、モバイルバンキング、DuitNow QRもすべて使える。
宗教に関係なく誰でも開設可能。実際に、利益配分率が通常の金利より有利なケースもあり、非ムスリムの外国人が選ぶこともある。
まとめ——口座開設の手順
- ビザを取得する(就労ビザ、MM2H、学生ビザなど)
- マレーシアの携帯電話番号を取得する(DiGi、Maxis、Celcomなど。空港で即日購入可能)
- 必要書類を揃える(パスポート、ビザ、住所証明、雇用証明書など)
- KL中心部の支店に行く(Maybank or CIMBがおすすめ)
- 口座開設(通常1時間程度で完了)
- モバイルアプリをセットアップする(DuitNow QR、オンラインバンキング)
- Touch 'n Go eWalletも登録する(日常の少額決済用)
書類が揃っていれば、支店に行ったその日に口座が使えるようになる。日本の銀行のように「1週間後にキャッシュカードが届く」ということはなく、その場でカードが発行される銀行がほとんど。
マレーシアの銀行サービスは、手数料の安さ・モバイルバンキングの充実度・金利の高さのいずれも日本より優れている部分が多い。口座開設後はDuitNow QRとTNG eWalletのセットアップまで済ませておくと、現地生活の立ち上がりがかなり早くなる。
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