30%ルーリング2024年改正——外国人向け税制優遇の現状と注意点
オランダの高技能外国人向け税制優遇「30%ルーリング」の仕組みと2024年改正内容を解説。適用条件・期間・申請方法と、改正による上限設定の影響を紹介します。
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オランダが外国人高技能労働者を引き寄せてきた最大の武器が「30%ルーリング(30%-regeling)」だ。適用されると給与の30%が非課税の「費用補填」として扱われ、実質的な所得税負担が大幅に下がる。
ただし2024年以降、この制度に大きな変更が加わった。
基本的な仕組み
30%ルーリングが適用されると、給与の30%が非課税所得として扱われる。たとえば月額税前給与が8,000EURの場合、課税対象は8,000EURではなく5,600EUR(70%分)になる計算だ。
オランダの所得税は累進課税で、高所得では最高49.5%(2026年参考)に達する。課税ベースが30%減少するので、実際の手取りへの影響は大きい。
適用条件(2026年時点)
- オランダ国外から採用されたこと
- 採用前の24ヶ月のうち16ヶ月以上、オランダの国境から150km以上離れた場所に居住していたこと
- 2025年以降の最低給与要件:年収46,107EUR以上(30歳未満は35,048EUR以上)
- 雇用主がerkend sponsorであること
2024年改正の内容
従来は最大8年間適用されていたが、2024年以降に開始する場合は最大5年に短縮された。
さらに2024年から上限設定が導入された。課税処理される給与のうち30%控除の対象となる上限は、いわゆる「Balkenende規範(公共部門の最高賃金基準)」に連動する。2024年の上限は約233,000EUR/年程度。高所得のexpatは全額が恩恵を受けられなくなるケースが出てくる。
段階的縮小(2024〜2027年経過措置)
既存の受給者への影響を和らげるため、経過措置が設けられている:
- 2024〜2025年:30%控除(従来どおり)
- 2026〜2026年:20%控除
- 2027年以降:10%控除(段階的縮小の詳細は年度により変更あり)
最新の条件はBelastingdienst(belastingdienst.nl)の公式ページで確認することが必須だ。
申請手続き
30%ルーリングの申請は雇用主と労働者が共同でBelastingdienstに行う。採用後できるだけ早く申請する。採用から4ヶ月以内に申請すれば採用日に遡って適用できるが、それを超えると申請月からの適用になる。
活用している人の実態
この制度は「日本の給与水準」と「オランダの給与水準」のギャップを埋める大きな役割を果たしている。30%ルーリングがあることを前提にオランダ就職を選んだ外国人にとって、制度の縮小は手取りの実質的な減少を意味する。
ルーリングの残余期間を把握した上で、オランダ在住の中長期計画を立てることが重要だ。