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オランダの冬と「11月の憂鬱」:日照時間が最も短い国の精神衛生

アムステルダムの年間日照時間は東京の半分以下とも言われる。11月〜2月の暗さと雨と風がメンタルに与える影響、そしてオランダ人がどう乗り越えているかを紹介する。

2026-06-30
気候メンタルヘルスオランダ生活

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9月のオランダは美しい。木々が黄色く染まり、空気が澄んで、カフェのテラスでまだビールが飲める。しかし11月に入ると空が灰色になり、それが4月まで続く。

アムステルダムの年間日照時間は約1,700時間(推定、出典:KNMI 長期平均値)。東京の約2,400時間と比べると、かなり少ない。特に冬は一日の日照が4〜5時間以下になることも珍しくない。

「ノベンバーブルース」という現象

オランダ語でも英語でも、11月の精神的な落ち込みを指す言葉がある。日照不足が体内時計(サーカディアンリズム)に影響し、セロトニン分泌が減ることがその一因とされる(医学的説明は専門家に相談を)。

在住日本人の間では「11月〜2月は頑張って乗り切る」という共通認識が自然と生まれる。「冬のオランダがきつくて帰国を選んだ」という話も珍しくない。

光療法ランプの普及

オランダでは「ライトセラピーランプ(lichttherapielamp)」が一般的な家電として売られている。朝食中に一定照度の光を浴びることで、体内時計をリセットする効果があるとされる。ドラッグストアや家電量販店で普通に手に入る(推定・50〜150EUR程度)。

これが「おしゃれグッズ」ではなく「生活必需品」に近い扱いをされているのが、この国の冬の暗さを象徴している。

ゲゼリヘイト(gezelligheid)という抵抗

オランダ人が冬を乗り越える文化として「ゲゼリヘイト(gezelligheid)」がある。日本語に直訳しにくいが、「ほっとする温かさ、居心地の良さ、みんなで囲む空気感」のような意味だ。

キャンドルを灯し、温かいドリンクを飲みながら、親しい人と室内で過ごす時間の心地よさ——冬が暗いからこそ、室内の温もりが際立つ。寒い季節の存在意義が「ゲゼリヘイトを味わうため」とも言える。

自転車は真冬も走る

オランダ人は雨の中でも、霜が降りても、自転車に乗り続ける。防水ジャケットと分厚い手袋は生活用品だ。「天気が悪いから自転車をやめる」という発想があまりない。

これを「忍耐」と見るか「適応」と見るかで、冬との向き合い方が変わる。

夏の輝き

冬の暗さと引き換えに、オランダの夏は長い。6〜8月は夜10時過ぎまで明るく、公園や運河沿いにいる人々の顔が解放感に満ちている。「冬を乗り越えた報酬」として夏の光がある。

冬を経験せずに夏だけ滞在すると、オランダの半面しか見えない。暗さを通過してからの明るさの体験が、この国の気候文化の核心だ。

オランダの冬は確かに長い。それでも「なんとかなる」と感じるようになったとき、生活がひとつの段階を越えたサインかもしれない。

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