オランダの年金制度:三本柱の仕組みと外国人が知るべきこと
オランダの年金制度は国家年金・企業年金・個人年金の三本柱で構成される。在住外国人が受け取れる年金はどうなるのか。仕組みと注意点を解説する。
この記事の日本円換算は、1EUR≒163円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
「老後の資金はどうなる?」——オランダで働き始めた日本人がある時点で気になりだす問いだ。日本の年金と合算できるのか、会社の年金は引き継げるのか、そもそも何年いたら何をもらえるのかが分からないまま過ごしている人も多い。
三本柱の構造
オランダの年金は三層構造になっている。
第一柱: AOW(老齢年金) — 国家年金。67歳から支給。オランダに住んだ年数に比例して受給額が増える。満額受給には50年間の居住が必要で、1年につき受給額の2%が積み立てられる計算だ(出典:SVB 社会保険銀行)。
第二柱: 企業年金(pensioenfonds) — 雇用主が加入する業種・企業の年金基金。掛け金は雇用主と従業員が分担。オランダで働いた期間の分が積み立てられる。
第三柱: 個人年金(lijfrente) — 自発的な個人年金保険。税制優遇があるため利用者も多い。
外国人が注意すべき点
短期在住(5年未満など)の日本人が最も影響を受けるのはAOWだ。在住年数が短ければ、老後にオランダから受け取るAOWは小額になる。日本の国民年金とオランダのAOWは二国間社会保障協定がある(日蘭社会保障協定、2009年発効)。これにより、一方の国での保険料納付期間が短くても合算して受給資格の判定ができる場合がある(出典:厚生労働省)。
企業年金(第二柱)は、オランダを離れても積み立て分は保持される。ただし受取は受給開始年齢(原則67歳前後)まで待つことになる。
在住日本人にとっての実務的判断
数年の赴任であれば、年金的には「大きな差は出ない」ことが多い。日本の厚生年金が継続している場合は、オランダでの厚生年金支払いは免除される可能性がある(社会保障協定による)。ただし具体的な状況によって異なるため、日本の年金機構またはオランダ・SVBに確認する必要がある。
長期在住・永住を考える場合は、第二柱の企業年金への加入状況と、将来の受給計画を早めに把握しておくことが重要だ。
2023年の年金改革
オランダは2023年に大規模な年金制度改革を行った(Wet toekomst pensioenen)。従来の「確定給付型」から「確定拠出型」に近いモデルへの移行が段階的に進んでいる(出典:オランダ政府SZW省)。
これにより個人ごとの年金積立額が可視化される一方、老後受取額の予測がより不確実になるという面もある。改革の影響は今後数十年かけて現れる。
年金は「働いた国の分だけ権利が生まれる」ものだ。複数国で働く人は、その全体像を把握する仕組みを持っておくと、老後の計画が立てやすくなる。