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世界一手厚い年金の裏側|オランダの3層構造と在住者が見落とす落とし穴

オランダの年金制度はMercer Global Pension Indexで常にトップクラス。国民年金(AOW)・企業年金・個人年金の3層構造だが、外国人在住者は受給条件を満たしにくい。

2026-05-27
オランダ年金AOW老後社会保障

この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。

オランダの年金制度は、Mercer Global Pension Indexで世界1位を何度も獲得している。しかし、このランキングはオランダで生まれ育ち、オランダで一生を終える人を前提にしている。外国人在住者にとっては、見た目ほど手厚くないケースがある。

3つの層

オランダの年金は以下の3層で構成される。

第1層:AOW(国民基礎年金) 15歳から67歳まで(開始年齢は段階的に引き上げ中)オランダに住んだ人が受給対象。満額はEUR1,300〜1,500/月(約20万8,000〜24万円)程度。ただし、50年間の居住が満額条件で、1年短くなるごとに2%減額される。

30歳でオランダに来て67歳まで住んでも37年。満額の74%しか受給できない。

第2層:企業年金 雇用者が加入する年金基金。大企業やセクターごとの基金(ABP、PFZW、PMEなど)がある。給与の一定割合を雇用主と折半で拠出。これが最も大きな資産になることが多い。

第3層:個人年金 自分で加入する積立型の年金保険やリタイアメント口座。フリーランス(ZZP)は第2層がないため、ここで自分で準備する必要がある。

2023年の大改革(Wtp)

2023年、オランダの年金制度は「Wet toekomst pensioenen(将来年金法、Wtp)」で大幅に改革された。従来の確定給付型(DB)から確定拠出型(DC)に近い仕組みへの移行が進んでいる。

簡単に言えば、「将来もらえる額が約束される」制度から「運用成績次第で変動する」制度への転換だ。全年金基金が2028年1月1日までに新制度に移行する予定。

この改革は在住外国人にも影響する。特に帰国予定がある場合、拠出済みの企業年金がどのように受け取れるかのルールが変わる可能性がある。

外国人在住者の落とし穴

AOWの2%ルールは、オランダ国外で暮らした期間が長い人に不利に働く。日本で30年、オランダで20年暮らした場合、AOWは満額の40%だ。月額EUR500〜600(約8万〜9万6,000円)程度。これだけではオランダで生活できない。

日本の年金との通算協定はあるが、受給額の合算ではなく「加入期間の合算」に過ぎない。日本の年金とオランダのAOWを合わせて十分な額になるかは、個別に計算してみないとわからない。

フリーランスの空白

オランダのフリーランス(ZZP)は約120万人。労働人口の1割以上だ。しかし、ZZPの多くは企業年金に未加入で、第3層の個人年金も十分に積み立てていない。

ZZPの老後の年金不足は社会問題として認識されており、Wtp改革でもZZPの年金参加を促進する施策が検討されている。しかし強制加入にはなっておらず、自己責任の領域が大きい。

在住日本人でフリーランスとして働いている場合、年金は完全に自分で設計する必要がある。AOWの部分的な受給と、個人年金の積立を組み合わせたプランを早い段階で作っておくことが重要だ。

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