アムステルダムのスタートアップ:ヨーロッパ進出の「橋頭堡」として選ばれる理由
アムステルダムはヨーロッパのスタートアップ拠点として急成長している。英語環境、国際人材、投資エコシステム、そして「橋頭堡としての地政学的価値」を解説する。
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ブレグジット(英国のEU離脱)後、欧州金融機関がロンドンからアムステルダムに移転した。これはスタートアップシーンにも波及し、「欧州拠点をどこに置くか」という問いにアムステルダムが選ばれるケースが増えた。
なぜアムステルダムが選ばれるか
複数の理由が重なっている。
言語環境: 先述のとおりオランダは英語力が高く、英語だけで事業運営できる。採用・営業・パートナーシップ全てが英語で動く。
スキポール空港: ヨーロッパ主要都市への直行便が多く、ロンドン・パリ・フランクフルトへ1〜2時間で移動できる。グローバル展開するスタートアップに物理的な利便性がある。
高度技能者向け制度: 30%ルーリング(外国人の所得の30%を非課税にする税制優遇)は採用の競争力になる。
エコシステムの密度: ボーカリンク(Booking.com の親会社 Booking Holdings)、Adyen(フィンテック)、ASML(半導体)といったオランダ発の大企業の存在が、資本・人材・知見の循環を生んでいる。
WeWork的コワーキングと集積
ストライプS(アイントホーフェン)と同様、アムステルダムにも廃工場転用のスタートアップ拠点がある。ヴェストガスファブリーク(Westergasfabriek)地区や、NDSM造船所跡地がクリエイティブ系スタートアップの集積地になっている。
StartupAmsterdam(市の支援機関)とStartup Delta(オランダ政府のスタートアップ推進組織)が連携し、ランディングプログラムや投資家マッチングを提供している。
日系スタートアップのオランダ進出
日本のスタートアップがヨーロッパに拠点を置く場合、アムステルダムは選択肢の一つだ。日本語対応の会計士・弁護士も一定数おり、在蘭日本大使館や日本商工会(JNTO)のリソースも使える。
ただし欧州のスタートアップシーンは、シリコンバレーとも東京とも異なる文化がある。「スタートアップカルチャー」への熱量はシリコンバレーほど高くなく、ワークライフバランスを優先する傾向があるため、「24時間ハードワーク」型の文化とはズレることもある(推定)。
課題:住宅とビザ
スタートアップ誘致の課題は住宅問題とビザの複雑さだ。社員を採用してもアムステルダムで住む家が見つからないという問題は現実的に起きている。スタートアップビザ(Startup Visa)は制度としてあるが、要件を満たすには準備が必要だ。
成長のポテンシャルと現実のコストの両方を見てからオランダを選ぶ——それが失敗しない進出戦略になる。