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オランダの光熱費——ガス危機後の電気・ガス料金と節約法

オランダの光熱費はEU内でも高水準。ガス危機後の電気・ガス料金の実態、契約の仕組み、節約方法を在住者向けに解説。

2026-05-03
光熱費電気ガスエネルギーオランダ生活

この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。

2022年、ロシアのウクライナ侵攻でオランダのガス料金は一時3倍に跳ね上がった。ヨーロッパ最大のガス田(フローニンゲン・ガス田)を持つ国が、ガス価格の高騰に苦しむ。皮肉な話だが、これがオランダのエネルギー事情の出発点だ。

電気・ガス料金の相場

2025年時点で、オランダの一般家庭(2人世帯)の光熱費は月額150〜250EUR(24,000〜40,000円)が目安だ。内訳は電気が月50〜90EUR、ガスが月80〜150EUR程度。冬場はガス暖房の使用量が増えるため、11月〜3月は夏の1.5〜2倍になる。

オランダの住宅はセントラルヒーティング(ガス暖房)が標準で、各部屋のラジエーターで室温を調整する。この暖房がガス消費の大部分を占める。日本のようにエアコンで暖房する家庭はほぼない。

契約の仕組み

電気・ガスはプロバイダーを自由に選べる。Vattenfall、Eneco、Essent、Budgetenergie、Greenchoiceなどが主要な会社だ。

契約は大きく2種類ある。

固定料金(vast tarief): 契約期間中(通常1〜3年)の単価が固定される。市場価格が上がっても下がっても料金が変わらないため、安定を重視する人に向く。

変動料金(variabel tarief): 市場価格に連動して月ごとに変わる。2022年のような高騰リスクがある一方、市場が安い時期は固定より安くなる。

引っ越し時に自分でプロバイダーを選ばないと、地域のデフォルトプロバイダーと割高な変動契約が自動的に適用される。入居後すぐに比較サイト(Gaslicht.com、Pricewise.nl、Independer.nl)でプロバイダーを選ぶのが基本だ。

エネルギーラベルと住宅選び

オランダの住宅にはエネルギーラベル(A〜G)が義務付けられている。ラベルAは断熱性能が高く光熱費が安い。ラベルG(最低ランク)の住宅は、ラベルAと比べて年間1,000〜2,000EUR(16万〜32万円)以上光熱費が高くなるケースもある。

賃貸物件を探すときは家賃だけでなく、エネルギーラベルを必ず確認する。安い家賃の物件がラベルFだった場合、光熱費を足すと結局高くつく。Fundaなどの不動産サイトでは物件情報にラベルが表示されている。

節約の実践

室温の設定: オランダ政府は暖房の設定温度を19〜20℃に推奨している。多くのオランダ人家庭では18〜19℃に設定し、寒ければセーターを着るのが一般的だ。日本の感覚で22〜23℃にすると、ガス代が月50EUR以上変わることもある。

スマートサーモスタット: Toon(Eneco系列)やNest、Honeywell等のスマートサーモスタットで、外出時に自動で温度を下げる設定にしておくと年間100〜200EUR程度の節約になる。

太陽光パネル: 持ち家であれば太陽光パネルの設置を検討する価値がある。オランダ政府はネットメータリング制度(自家発電した電力を電力網に戻して相殺する仕組み)を導入しており、電気代がほぼゼロになる家庭もある。ただし、2027年以降に段階的に縮小される予定だ。

二重ガラス窓: 築古の物件は単層ガラスが残っていることがある。家主に二重ガラスへの交換を依頼する(または契約時に確認する)だけで、暖房効率が大きく変わる。

フローニンゲン・ガス田の閉鎖

オランダは2024年10月にフローニンゲン・ガス田の採掘を正式に終了した。地震被害(採掘による地盤沈下が原因)が深刻化し、住民の安全を優先した判断だ。かつてはEU最大のガス供給源だったが、今後オランダはガスの輸入国になる。

この閉鎖を受けて、オランダ政府は2050年までに天然ガスからの完全離脱を目指す方針を打ち出している。新築住宅ではガス接続が2018年から原則禁止され、ヒートポンプや地域暖房への切り替えが進んでいる。中古住宅に住む場合は当面ガス暖房が続くが、将来的に切り替えコストが発生する可能性がある点は頭に入れておきたい。

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