Kaigaijin
海外在住日本人のメディア
働き方

オランダの祝日・休暇制度——有給消化率ほぼ100%の国の時間感覚

法定有給20日、実際は24〜32日。祝日は年11日。ブリッジデーを使えば19日の有給で36日以上休める。オランダ人の休み方の構造を解説。

2026-05-01
祝日有給休暇ワークライフバランス休暇制度労働

この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。

オランダのフルタイム労働者は、法定で年間20日の有給休暇がある。ただし、実際にはほとんどの企業が24〜32日を付与している。そしてオランダ人は、その休暇をほぼ全て使い切る。日本の有給取得率が62.6%(2023年、厚生労働省調査)であることを考えると、同じ「有給休暇」という制度の運用がまるで違う。

祝日は11日、でも法的義務ではない

オランダの祝日は年間11日だ。元日、復活祭、国王の日(4月27日)、解放記念日(5月5日)、昇天祭、聖霊降臨祭、クリスマス2日間など。

ただし意外なことに、オランダには「祝日に休ませなければならない」という法律がない。祝日の扱いは雇用契約や労働協約(CAO)によって決まる。実態としてはほぼ全ての企業が祝日を休みにしているが、法的には義務ではないという点が日本と異なる。

解放記念日(5月5日)は5年に1回だけ全国的な有給祝日になる。直近は2025年、次は2030年だ。

ブリッジデー戦略

オランダ人は「brugdag」(ブリッジデー)を戦略的に使う。祝日と週末の間に挟まれた平日に有給を取って、連休を延長する技術だ。

2026年の場合、国王の日(4月27日、月曜日)の前後に有給を組み合わせると、4連休が作れる。昇天祭は必ず木曜日に来るので、金曜日に1日有給を取れば4連休。これを年間を通じて計画的に配置すると、19〜20日の有給で36〜40日以上の休暇ブロックを生み出せる。

休暇ボーナス(Vakantiegeld)

オランダの労働者は、毎年5月に「休暇ボーナス(Vakantiegeld)」を受け取る。年収の8%が上乗せされる制度で、法律で定められている。年収50,000EUR(800万円)の場合、4,000EUR(64万円)が5月の給与に加算される。

この制度の趣旨は「休暇に使うお金を確保する」こと。実際に旅行資金として使う人も多いが、住宅ローンの返済や貯蓄に回す人も増えている。

パートタイムと休暇の関係

オランダはパートタイム労働率がEU最高水準だ。フルタイム換算で週32時間勤務が珍しくなく、週4日勤務を選ぶ親も多い。

「有給20日 + 祝日11日 + 週4日勤務」を組み合わせると、年間の休日数は相当な数になる。金曜日がデフォルトで休みの「パパの日(papadag)」は社会に浸透しており、金曜の公園は父親と子どもで賑わう。

休むことの優先順位

オランダで働き始めると気づくのは、休暇の調整が仕事のスケジューリングより先に決まるという点だ。年度初めにチーム全員が休暇予定を共有し、それを前提にプロジェクト計画を立てる。

「休暇を取りにくい雰囲気」というものがほとんど存在しない。上司が率先して3週間のバカンスを取り、その間は連絡が取れなくなる。最初は戸惑うが、慣れると「仕事のために休むのではなく、休みのために働いている」という順序が合理的に見えてくる。

時間の使い方は、価値観の可視化だ。オランダ人が休暇をほぼ全て消化するのは、怠惰ではなく設計——「働く時間」と「休む時間」の境界を曖昧にしないという設計思想だ。

コメント

読み込み中...