オランダの住宅難——家を探すことが仕事になる国
オランダで深刻化する住宅不足の実態と、外国人が賃貸を探す際のハードルを解説。アムステルダム・ロッテルダムの家賃相場、内見競争、入居審査の壁を整理します。
この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。
「住む場所が見つからない」。これはオランダ移住を経験した日本人がほぼ例外なく口にする言葉だ。観光地として美しいアムステルダムの裏側で、住宅市場は10年以上にわたる構造的な供給不足に苦しんでいる。
数字で見る住宅難
オランダの住宅待機者数は推計40万件を超えているとされる(2023〜2024年時点の報道ベース)。アムステルダムの社会住宅(賃貸支援制度付き)の待機期間は10年以上になることもある。民間市場でも状況は似ていて、物件が出ると数時間で数十人の問い合わせが殺到する。
家賃の現実
アムステルダム市内の家賃相場(2026年4月時点、参考値):
- ワンルーム・スタジオ(25〜35㎡):1,500〜2,000EUR/月(240,000〜320,000円)
- 1ベッドルーム(50〜65㎡):2,000〜2,800EUR/月(320,000〜448,000円)
- 2ベッドルーム(75〜90㎡):2,500〜3,500EUR/月(400,000〜560,000円)
ロッテルダムやデン・ハーグはアムステルダムより2〜3割安い傾向があるが、それでも高い。
外国人が直面するハードル
入居審査は厳しい。多くの大家や仲介会社が以下の条件を求める:
- 収入証明:月額家賃の3〜4倍の手取り収入
- 雇用契約書:永続雇用契約(probation期間中は不可とする物件もある)
- オランダ語能力:仲介担当者がオランダ語のみ対応のケースがある
- 保証人:オランダ国内の保証人を要求されることも
外国人の場合、雇用開始直後でprobation中だと審査を通らないことが多い。企業派遣の場合は会社が一時的な宿泊を手配するか、コーポレートハウジングを使うケースが多い。
住居探しの現実的なアプローチ
Funda(オランダ最大の不動産ポータル)が主要プラットフォームだが、競争が激しい。Pararius・Huurstunt・Expat.comも使われる。
到着前に住む場所を確保するのは難しい。多くの在住者が最初の1〜3ヶ月はAirbnbや短期サービスアパートメントを使い、その間に賃貸探しをする。内見は現地で直接行く必要があるため、「先に荷物を送って住所が決まったら呼ぶ」という順序になりがちだ。
アムステルダム郊外という選択肢
Amstelveen・Haarlem・Utrecht・Leidenはアムステルダムから電車で20〜40分圏にある。家賃は市内より10〜30%安く、競争も少し緩和される。日本人コミュニティもAmstelveenに集まる傾向があり、日系企業・日本語対応の施設が充実している。
住宅探しがうまくいかないからといってオランダを諦める必要はない。ただし「すぐに良い部屋が見つかる」という前提で計画を立てると確実に詰まる。最初の3ヶ月分の滞在費用と精神的余裕を持っておくことが、オランダ移住を乗り越える最初の条件になる。