オランダの育児休業と保育——充実した制度と意外な落とし穴
オランダの出産・育児休業制度と認可保育所(kinderopvang)の仕組みを解説。外国人が知っておくべき申請条件・補助制度・待機問題の実態を紹介します。
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オランダは「子育てがしやすい国」として知られている。UNICEF等の国際比較でも子どもの幸福度が高い国として上位に入ることが多い。ただし「制度が充実している」と「外国人が使いやすい」は同義ではない。
出産休業(kraamverlof・zwangerschapsverlof)
母親の産前産後休業は合わせて16週間以上取得できる(出産前6週間・出産後10週間以上)。給与の100%がUWV(社会保険庁)から支給される。
父親・パートナーの出産休暇(geboorteverlof)は出産後4週間以内に最低1週間取れる。加えてパートナー休業(aanvullend geboorteverlof)として5週間まで取得できるが、給与の70%補填(UWVから)になる。
育児休業(ouderschapsverlof)
両親ともに子どもが8歳になるまでの間に、26週間分の育児休業を取得できる。このうち9週間は給与の70%が補填される(2022年改正で拡充)。残りは無給だが職は保護される。
ただしこの制度は労働者として働いている人が対象だ。自営業・フリーランスは別の制度(ZZP)を利用することになる。
kinderopvang(認可保育所)
認可保育所の費用は月に1,000〜2,500EUR程度だが、収入に応じた国の補助(kinderopvangtoeslag)が受けられる。補助額は収入・利用時間・子どもの数によって異なり、費用の50〜95%程度が補填されることもある。
落とし穴:kinderopvangへの申込み・補助申請には、オランダのBSN番号・就業状況の証明・Tax Authorityへの登録が必要で、外国人の場合は手続きが複雑になることがある。来蘭直後に保育所を探すと書類が揃わずに申請を断られるケースがある。
待機問題の現実
住宅難と同じく、保育所不足も深刻だ。アムステルダムでは人気のある保育所に1〜2年の待機リストがある。妊娠が判明したタイミング、あるいは移住決定と同時に複数の保育所に申込みを入れるのが現実的な対策になる。
日本の保育所との比較
オランダの認可保育所は「Pedagogisch Beleid(保育方針)」に基づき、子どもの自律性・探索・社会性を重視する。一日中静かに座って学習するスタイルではなく、外遊び・自由な活動が多い。日本的な一斉指導文化とは異なる。
この違いを「良い」と感じるか「物足りない」と感じるかは家庭の価値観による。ただし、子どもはどの環境でもたいてい早くなじんでいく。親の適応のほうが時間がかかることが多い。