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大麻は合法なのに栽培は違法|オランダのコーヒーショップが抱える矛盾

オランダのコーヒーショップでは大麻の少量販売が許容されている。しかし仕入れルートは違法のまま。この「裏口問題」はなぜ50年以上解決されないのか。

2026-05-27
オランダ大麻コーヒーショップ政策社会

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オランダのコーヒーショップに入ると、メニューにはハシシやマリファナの品種がグラム単位で並ぶ。合法的に購入でき、店内で喫煙もできる。しかし、その大麻がどこから来たのかを店に聞くと、誰も答えられない。

表のドアから客が買うのは合法。裏のドアから商品が入ってくるのは違法。これが「バックドア問題(achterdeurproblematiek)」と呼ばれるオランダ独自の矛盾だ。

「容認」であって「合法」ではない

オランダの大麻政策は「gedoogbeleid(容認政策)」と呼ばれる。法律上、大麻の所持・栽培・販売は全て違法だ。しかし、一定の条件を満たすコーヒーショップでの5g以下の販売と、5g以下の個人所持については、検察が起訴しないという方針を取っている。

つまり「合法化」ではなく「非犯罪化」でもなく、「法律はあるが執行しない」という世界的にもユニークな運用だ。

コーヒーショップの営業には自治体の許可が必要で、全国で約560店舗が営業している。ピーク時の1990年代には1,500店舗以上あったが、規制強化で減少した。

なぜバックドアは閉まらないのか

コーヒーショップが合法的に大麻を仕入れる手段は存在しない。農家が栽培すれば逮捕される。輸入も違法。結果として、コーヒーショップは非合法の市場から仕入れざるを得ない。

この構造は組織犯罪の温床になっているとして、警察・司法から長年批判されてきた。にもかかわらず政策が変わらないのは、コーヒーショップのシステムが「ハードドラッグとソフトドラッグの分離」という目的を一定程度果たしているからだ。

大麻を買うために犯罪組織と接触する必要がなければ、そこからヘロインやコカインに流れるリスクが減る。この「実害軽減(harm reduction)」の論理が、矛盾だらけの現状を支えている。

合法栽培の実験

2023年から、オランダ政府は「wietexperiment(大麻実験)」を一部自治体で開始した。政府が認可した栽培者が合法的に大麻を生産し、指定されたコーヒーショップに供給するという実験だ。

ティルブルフ、ブレダ、アルメレなど10自治体が参加。約150店舗が対象となっている。この実験が成功すれば、全国的にバックドア問題が解消される可能性がある。

ただし、実験の結果が出るまでには数年かかる見込みで、全国展開の判断はさらに先になる。

在住日本人が知っておくべきこと

日本の法律では、海外で大麻を使用した場合も帰国後に処罰される可能性がある。2023年の大麻取締法改正で「使用罪」が新設されたため、オランダで合法的にコーヒーショップを利用しても、日本の法律上はリスクがある。

在住者として生活する上で、コーヒーショップの存在は街の風景の一部だ。アムステルダムの旧市街では独特の甘い匂いが漂っている。好むと好まざるとにかかわらず、オランダ社会の一部として存在している。

矛盾を抱えたまま走り続ける

「完全に合法化すればいい」という声も「完全に禁止すればいい」という声もある。しかしオランダが選んでいるのは、どちらでもない中間地帯だ。

矛盾があることを全員が知っている。知った上で、「現状が壊滅的に悪いわけではないから、慎重に実験しながら進む」という態度。オランダの政策決定の特徴である「完璧を目指さない実用主義」が、この問題にも表れている。

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