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オランダの就労許可TWVと高度技能者ビザ(HSM)の違い|取得手続きと条件

オランダで働くための就労許可TWV(tewerkstellingsvergunning)と高度技能移民ビザ(HSM)の要件・申請手順・処理期間を解説。日本人が利用できるルートを整理。

2026-05-24
オランダ就労許可TWVHSMビザ手続き

この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。

オランダで非EU市民が合法的に働くには、就労許可(TWV)または高度技能移民ビザ(HSM)のどちらかが必要になる。日本人在住者の多くはHSMを利用しているが、両者の違いと自分に該当するルートを把握しておくことで、転職や雇用形態の変更時に困らなくなる。

TWV(tewerkstellingsvergunning)——一般的な就労許可

TWVはUWV(従業員保険事業団)が管轄する就労許可で、申請するのは雇用主だ。労働者本人ではない。

取得の条件として、雇用主はまずEU/EEA域内で適切な人材を探す努力をしたことを証明する必要がある(労働市場テスト)。最低5週間の求人掲載が求められ、「EU域内に適任者が見つからなかった」ことを立証しなければならない。

有効期間は最長1年。延長可能だが、毎回労働市場テストが必要。処理期間は約5週間。

HSM(Highly Skilled Migrant)——高度技能移民ビザ

HSMはIND(移民帰化局)が管轄する在留許可で、労働市場テストが免除される。日本人がオランダで働く場合、最も利用頻度が高いルート。

条件は雇用主がIND認定スポンサー(recognized sponsor)であることと、給与が基準額を満たすこと。2025年時点の給与基準は以下の通り。

  • 30歳以上: 月額EUR5,008(約80万1,280円)以上
  • 30歳未満: 月額EUR3,672(約58万7,520円)以上
  • オランダの大学を卒業してから3年以内の場合(オリエンテーション年ビザ経由): 月額EUR2,801(約44万8,160円)以上

これは額面(bruto)の金額。手取りではない。

HSMのメリット

HSMの最大のメリットは処理速度と手続きの簡素さだ。認定スポンサーの雇用主が申請すると、INDの処理期間は通常2週間程度。TWVの5週間と比べて大幅に短い。

さらに、HSM保有者は30%ルーリング(30%-regeling)を申請できる。これは給与の30%を非課税とする税制優遇措置で、手取り収入が大幅に増える。2024年以降、上限がEUR233,000に設定され、最初の20ヶ月は30%、次の20ヶ月は20%、最後の20ヶ月は10%と段階的に縮小する制度に変更された。

申請の実務

いずれの場合も、申請は雇用主が行う。労働者本人が直接申請することはできない。

HSMの場合の流れは以下の通り。

  1. 雇用主がIND認定スポンサーに登録(未登録の場合は先に登録が必要、処理に4〜6週間)
  2. 雇用主がINDにHSM申請を提出
  3. INDが審査(約2週間)
  4. 承認後、在住者はGemeente(市役所)で住民登録
  5. INDで在留カード(verblijfsvergunning)の受け取り

転職時の注意点

HSMは特定の雇用主に紐づいている。転職する場合、新しい雇用主が改めてHSM申請を行う必要がある。転職先がIND認定スポンサーでなければHSMは使えないため、TWVに切り替えるか、雇用主にスポンサー登録を促すことになる。

退職から3ヶ月以内に新しい雇用主のもとで手続きを開始しないと、在留資格を失うリスクがある。転職活動は在職中から始めておくのが現実的だ。

フリーランスという選択肢

HSMでもTWVでもなく、フリーランスビザ(ZZP)という第三の選択肢もある。ただし審査基準がHSMより曖昧で、事業計画書の提出と「オランダ経済への貢献」の立証が求められる。処理期間も90日と長い。

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