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ニュージーランドの子育て支援制度——Working for FamiliesとECE 20時間無料

NZの子育て家庭向け税額控除Working for Familiesと、3〜5歳児の保育20時間無料制度(20 Hours ECE)の仕組み・対象条件・金額を詳しく解説。

2026-05-01
子育て保育税額控除ECE支援制度

この記事の日本円換算は、1NZD≒92円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(NZD)の金額を基準にしてください。

ニュージーランドの保育料は高い。フルタイムの保育施設(Childcare Centre)に子どもを預けると、0〜2歳児で週NZD 350〜500(約3.2万〜4.6万円)、月額に換算するとNZD 1,500〜2,170(約13.8万〜20万円)になる。東京23区の認可保育園の最高額と同水準か、それ以上だ。

ただし、NZにはこの負担を軽減する2つの柱がある。

20 Hours ECE(3〜5歳児の保育20時間無料)

3歳の誕生日を迎えた子どもは、認可保育施設(Licensed ECE Service)で週20時間まで無料で保育を受けられる。2007年に導入されたこの制度は、永住権保持者や市民権保持者だけでなく、有効なビザを持つ外国人の子どもにも適用される。

対象施設は幼稚園(Kindergarten)、保育園(Childcare Centre)、プレイセンター(Playcentre)、家庭的保育(Home-based Care)など。ほとんどの認可施設が参加している。

ポイントは「週20時間まで無料」であって「保育料が全額無料」ではないことだ。フルタイム(週30〜50時間)で預ける場合、20時間を超えた分は通常料金がかかる。また、施設によっては20時間枠内でも「Optional Charge」と呼ばれる追加料金(食事代、教材費等)を徴収するところがある。週NZD 20〜50(約1,840〜4,600円)程度が相場だ。

Working for Families(WFF)

WFFは子どもがいる世帯向けの税額控除制度で、Inland Revenue(IRD・税務局)が管理している。主に4種類の控除がある。

Family Tax Credit(FTC)

最も基本的な控除。18歳未満の子ども1人につき、年間最大NZD 7,529(約69万円)が控除される。第2子以降は1人あたり年間NZD 5,604(約52万円)。世帯収入がNZD 42,700を超えると段階的に減額される(NZD 1増えるごとにNZD 0.27減額)。

In-Work Tax Credit(IWTC)

夫婦のいずれかが週20時間以上(ひとり親は週20時間以上)働いている場合、年間NZD 3,770(約35万円)が追加で控除される。生活保護(Main Benefit)を受給している世帯は対象外。

Minimum Family Tax Credit(MFTC)

フルタイムで働いているにもかかわらず、控除後の手取りが最低水準(2025年時点で週NZD 588・約5.4万円)を下回る場合、差額が補填される。いわば「働く家庭の最低保障」だ。

Best Start Tax Credit

2018年7月1日以降に生まれた子どもの場合、最初の3年間は1人あたり週NZD 73(年間NZD 3,796・約35万円)が支給される。1歳までは所得制限なし、1〜3歳は世帯収入NZD 79,000以上で減額される。

実際にいくら助かるのか

具体例で計算してみる。

ケース: 子ども2人(4歳と1歳)、世帯年収NZD 90,000(約830万円)の共働き家庭

  • Family Tax Credit: NZD 7,529 + NZD 5,604 = NZD 13,133
  • In-Work Tax Credit: NZD 3,770
  • Best Start(1歳児分): NZD 3,796(所得制限による減額あり)
  • 20 Hours ECE(4歳児分): 週20時間 × 約NZD 9/時 = 年間約NZD 9,360の保育料免除

合計で年間NZD 25,000〜30,000(約230万〜276万円)相当の支援になる。これがなければ保育料だけで世帯収入の30%以上を持っていかれる計算だ。

申請方法

WFFの申請はIRDのオンラインポータル(myIR)から行う。必要書類はIRD番号、ビザのコピー、雇用契約書、パートナーの収入証明など。申請後は2週間ごとにIRDから銀行口座に直接振り込まれる。年末の確定申告で過払い・不足の精算が行われる。

20 Hours ECEは保育施設で直接申し込む。必要なのはEnrolment Form(施設が用意)と、子どもと保護者のビザ情報のみ。

日本人家庭が注意すべきこと

就労ビザで滞在する日本人家庭もWFFの対象になるが、条件がある。子どもがNZに居住しており、有効なビザを持っていることが前提だ。学生ビザの場合はWFFの対象外になることが多い。

保育施設によっては20 Hours ECEの枠がいっぱいで、ウェイティングリスト(待機リスト)に入るケースもある。オークランドの人気エリアでは妊娠中から予約する家庭もいる。日本の保活と構造は似ている。

子育てにかかるお金は、制度を知っているかどうかで年間NZD 25,000以上の差がつく。NZに子連れで渡航する予定があるなら、IRDのWFFページを一度確認しておくことをすすめる。

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