ACC(事故補償制度)——NZ独自の労災・事故保険と医療費の仕組み
ニュージーランドのACC(Accident Compensation Corporation)は、交通事故・労働災害・日常の怪我まで幅広くカバーする世界でも珍しい制度。在住者が知っておくべき医療費と保険の仕組み。
この記事の日本円換算は、1NZD≒88円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(NZD)の金額を基準にしてください。
NZには、日本の労災保険・自賠責保険・第三者賠償保険を一本にまとめたような制度が存在する。ACC(Accident Compensation Corporation、事故補償公社)だ。事故で怪我をしたとき、加害者への訴訟の代わりにACCが補償する仕組みで、「誰のせいか」を問わず補償が受けられる点が特徴だ。
ACCが補償する範囲
- 交通事故(車・バイク・自転車・歩行者、いずれの立場でも)
- 職場での怪我・業務上の疾病
- スポーツ中の怪我
- 日常生活での転倒・切り傷・骨折等
- 性的暴力被害(2020年以降拡充)
カバーされない主な例: 心臓発作・脳卒中・がん・精神疾患(外傷後ストレス障害を除く)。これらの疾病はACCの対象外のため、別途民間保険への加入が現実的な選択肢になる。
具体的な補償内容
| 補償項目 | 内容 |
|---|---|
| 医療費 | 治療費の大部分をカバー(窓口負担は通常NZD 5〜20程度) |
| 休業補償 | 怪我前の収入の80%を最大1年間補償 |
| リハビリ費用 | 物理療法・作業療法等 |
| 介護費用 | 在宅介護が必要な場合 |
| 死亡給付 | 扶養家族への一時金支給 |
外国人のACCカバレッジ
NZに滞在している全員(観光客を含む)がACCの適用対象になる。ワーキングホリデーや学生ビザでも、NZ国内で怪我をすればACCが適用される。
ただし、怪我の補償はACCが担うが、怪我以外の病気(風邪・感染症等)は別扱いだ。GP(一般開業医)への初診料は通常NZD 20〜80程度かかる。永住権・市民権保持者や特定のビザホルダーは無料または低額になるが、ワーホリ・観光ビザは通常料金が適用される。
GPの仕組みと予約
NZの医療制度はGP(General Practitioner, かかりつけ医)を中心とする。専門医への受診は原則としてGPからの紹介が必要で、初診は自分でGPを探して予約する。
オークランド市内でも日本語対応のGPは少ないため、英語で説明できる準備をしておく方がいい。通訳が必要な場合はLanguage Line(電話通訳サービス)を利用できる医療機関もある。
民間健康保険は必要か
ACC適用の怪我については公的補償で相当カバーできるが、病気・歯科・眼科・精神科・専門医の待ち時間短縮(公立病院の待機リストは長い)を考えると、民間保険を持つ人が多い。
nib・Southern Cross・AIA・Sovereign(現AIA)などが主要プロバイダー。月額NZD 50〜200程度から加入できるプランがある。
医療費で一番困るのは「怪我でもなく、すぐ命に関わるわけでもない慢性疾患や歯科」という声をよく聞く。その穴をどう埋めるかが、NZ在住者の保険設計のポイントになる。