NZの医療制度——GPを知らないと病院に行けない仕組み
ニュージーランドの医療制度の基本を解説。GP(かかりつけ医)制度・ACC(事故補償)・公立と私立の違い、在住日本人が病気になったときの具体的な対処方法まで整理。
この記事の日本円換算は、1NZD≒88円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(NZD)の金額を基準にしてください。
NZで体調を崩したとき、日本式に「症状に合わせて専門医を選ぶ」という感覚で動くと、すぐに壁にぶつかる。NZの医療は「GP(General Practitioner、かかりつけ医)」を経由する仕組みになっており、専門医は基本的にGPの紹介状がなければ受診できない。
GP制度とは
GPとは日本の「かかりつけ内科医」に相当する存在で、風邪・腹痛・高血圧・精神的な問題など、「とりあえずここに来い」という一番最初の窓口だ。
NZに住む場合、特定のGPクリニックに「エンロールメント(登録)」することが推奨される。登録することで一定の優遇(予約が取りやすい、医療記録が一元管理される)がある。
GPの診療費は、登録しているクリニックでNZD 30〜80程度(約2,640〜7,040円)が一般的な目安だ。ただし社会的な支援制度によって補助が出るケースもある。
ACCが「怪我」をカバーする
NZで怪我をした場合、ACC(Accident Compensation Corporation)が治療費の大部分を負担する。交通事故・スポーツ中の怪我・仕事中の事故など、原因を問わず「事故による怪我」全般が対象だ。
これは世界でも珍しい制度で、「訴訟で賠償請求する代わりに、国が補償する」という思想に基づいている。
注意点: ACCが対象とするのは「怪我(Injury)」だ。病気(Illness)はACCの対象外で、通常の医療費がかかる。風邪・癌・糖尿病などはACCに頼れない。
公立病院と民間クリニックの違い
公立病院(Public Hospital)
原則無料または低額だが、緊急度が低いと待ち時間が非常に長くなる(数週間〜数ヶ月)。専門医への紹介待ちも長期化することがある。緊急性の高いケースは優先的に対応される。
民間クリニック・病院(Private)
即日〜数日以内の予約が可能。費用は全額自己負担だが、時間的なメリットが大きい。健康保険(Private Health Insurance)に加入していれば費用の一部がカバーされる。
在住者向けの医療費対策
多くの在住者が民間の医療保険(Southern Cross・nib・Partners Life等)に加入している。月額保険料はNZD 50〜150(約4,400〜13,200円)程度から。
「健康な間は不要」と感じるかもしれないが、専門医の診察が必要な状況になってから保険に入ろうとしても、既往症は除外されることが多い。若くて健康なうちに入っておくのが合理的な判断だ。
緊急時の対応
緊急の場合は111に電話する。日本の119・110に相当する緊急番号だ。
急を要さない症状でERに行くと数時間〜十数時間待つことになる。「Urgent Care」クリニックは予約なしで当日受診できる私設クリニックで、夜間・休日も対応している施設がある。GPほど安くはないが(NZD 80〜150程度)、緊急でなければERより早く診てもらえる。