NZの処方薬は$5——PHOに登録する方法と医療費の実態
ニュージーランドでは処方薬が1回$5で手に入る。PHO(Primary Health Organisation)への登録方法と、在住者が知っておくべき医療費の仕組みを解説。
この記事の日本円換算は、1NZD≒92円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨(NZD)の金額を基準にしてください。
ニュージーランドで風邪をこじらせて医者に行く。診察料は$50〜60(約4,600〜5,520円)。高いと思うかもしれない。しかし処方箋をもらって薬局に行くと、薬代は$5(約460円)だ。抗生物質でも吸入薬でも、政府の補助対象リスト(Pharmaceutical Schedule)に載っている薬なら1品目あたり$5。日本の3割負担で薬局に行ったときの金額と比べると、安さに驚く。
PHOとは何か
NZの公的医療の入口は**PHO(Primary Health Organisation)**への登録だ。PHOはGP(General Practitioner、かかりつけ医)のクリニックをまとめる組織で、政府から補助金を受けている。PHOに登録すると、GP受診時の自己負担が補助金分だけ安くなる。
登録に必要なのは、有効なビザ(2年以上の就労ビザ、永住権など)とパスポート。登録自体は無料で、GPクリニックの受付で申し込める。
GP受診の費用
PHOに登録したGPを受診した場合の自己負担は以下が目安だ。
- 成人: $45〜65(約4,140〜5,980円)/回
- 13歳以下: 無料
- 14〜17歳: 無料(2023年7月から)
- Community Services Card保持者(低所得者): $19.50(約1,794円)程度
日本のように健康保険証を出して3割負担、という仕組みとは違う。NZには日本の「国民健康保険」に相当するものはない。その代わり、政府がPHOを通じてGPに補助金を出し、患者の自己負担を下げるという間接的な仕組みになっている。
処方薬$5の仕組み
NZの処方薬補助はPHARMAC(Pharmaceutical Management Agency)という政府機関が管理している。PHARMACが製薬会社と価格交渉し、補助対象の薬と価格を決める。
補助対象リストに載っている薬は、1品目あたり$5の自己負担で手に入る。ただし制約もある。
- ブランド薬の選択肢が限られる: PHARMACはコスト削減のために特定のジェネリック薬を優先的に採用する。日本で使い慣れた薬のブランドがNZでは入手できないケースがある
- 新薬の承認が遅い: コスト交渉に時間がかかるため、海外で使える新薬がNZでは数年遅れで承認されることがある
- 補助対象外の薬は全額自己負担: リストに載っていない薬は高額になる
時間外・緊急の場合
GPの診療時間外に体調を崩した場合は、After Hours Clinic(時間外クリニック)が利用できる。自己負担は$70〜100(約6,440〜9,200円)程度と割高になる。
緊急の場合はED(Emergency Department、救急外来)へ。公立病院の救急はNZ居住者なら無料だが、待ち時間が長い。命に関わらない症状だと3〜6時間待つこともある。
歯科は別世界
NZの医療費で最も注意が必要なのは歯科だ。歯科はPHOの補助対象外で、全額自己負担になる。クリーニングで$150〜200(約13,800〜18,400円)、詰め物で$200〜400(約18,400〜36,800円)、抜歯で$300〜500(約27,600〜46,000円)程度。一時帰国のついでに日本で歯科治療を済ませる在住者は多い。
最初にやるべきこと
NZに着いたら、まずGPクリニックを選んでPHOに登録する。人気のあるクリニックは新規患者を受け付けていないことがあるので、早めに動くのが得策だ。Healthpointというサイトで、地域のGPクリニックの空き状況を検索できる。
処方薬$5の恩恵を受けるには、PHO登録が前提条件になる。登録しないまま受診すると、補助なしの料金($80〜100以上)になることもある。到着後1週間以内に済ませておきたい手続きだ。