罠を仕掛ける週末——NZの侵略的生物との終わらない戦争
ニュージーランドでは市民が自宅の庭や近所の森に罠を設置して害獣を駆除するボランティア活動が根付いている。国家プロジェクトを市民が支える「トラッピング文化」の実態。
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ニュージーランドの自然を脅かしているのは、外から持ち込まれた動物たちだ。ネズミ(ネクドウ・クマネズミ)、ストア(オコジョ)、イタチ、ポッサム——これらは在来の鳥や爬虫類、昆虫の卵・ヒナを食い荒らす。飛べない鳥、天敵を知らない虫、地面に巣を作る動物——進化の文脈でこれほど無防備な生態系は世界でも稀だ。
政府(DOC:自然保護省)の取り組みだけでは対応しきれないため、NZでは市民によるボランティア駆除活動が根付いている。
「トラッピング(trapping)」は、住宅地の庭や近所の公園・森林に捕獲罠を設置し、定期的に確認してネズミやストアを駆除する活動だ。Predator Freeという全国ネットワークのサイトで地域のボランティアグループを探すことができ、「庭に罠を置きたい」と表明すれば器材の貸し出しや設置のアドバイスを受けられるケースも多い。
小さな罠ひとつでは焼け石に水に見える。しかし罠が密に張り巡らされたエリアでは、鳥の個体数が回復したという事例が各地で報告されている。
毒餌(1080=フルオロ酢酸ナトリウム)を使った空中散布は、大面積の森林でネズミ・ポッサムを一度に駆除する方法で、NZで最も物議を醸す環境保護手法でもある。
支持者は「最も効果的でコスト効率が高い方法」と主張する。反対者は「在来の動物や家畜、猟犬への影響が懸念される」と批判する。NZではこの「1080論争」が定期的に社会的な議論になる。
移住者がNZの自然保護に参加する入口として、トラッピングボランティアは敷居が低い選択肢だ。英語力がそれほど高くなくても、罠の設置・確認という体を動かす作業なら参加しやすい。
「この国の自然を自分の手で守る」という感覚は、NZに移住した人が地域コミュニティとつながるきっかけにもなる。週に1度、自宅近くの罠を確認するだけで、NZの生態系回復プロジェクトの一部になれる。