ニュージーランドにペットを連れていく方法——世界一厳しい検疫をクリアする手順
ニュージーランドのペット輸入は世界最難関クラスの検疫が待っています。犬・猫の持ち込みに必要な手続き(マイクロチップ・狂犬病ワクチン・検疫隔離)から費用・所要期間まで、実務ベースで解説します。
この記事の日本円換算は、1NZD≒92円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(NZD)の金額を基準にしてください。
ニュージーランドは狂犬病が存在しない国です。そして、その状態を維持するために世界で最も厳しい動物検疫を敷いている国のひとつでもある。犬や猫を日本から連れていくには、最短でも6〜8ヶ月の準備期間が必要です。
日本からの輸入要件(MPI基準)
ニュージーランドの検疫を管轄するのはMPI(Ministry for Primary Industries: 第一次産業省)。日本はMPIのカテゴリーで「Group 3」に分類されており、以下の手続きが必要です。
必須手続き(時系列順)
- ISO規格マイクロチップ装着(ISO 11784/11785)
- 狂犬病ワクチン接種(マイクロチップ装着後に2回接種。1回目と2回目の間隔は最低30日)
- 狂犬病抗体検査(FAVN法で0.5IU/ml以上。2回目のワクチン接種後30日以降に採血)
- 内外部寄生虫の駆除処理(出発前の指定期間内に実施。使用薬剤・タイミングの規定あり)
- 輸出前検査(出発前10日以内に日本の認定獣医師が検査)
- 動物検疫証明書の取得(農林水産省動物検疫所で発行)
- MPIへの輸入許可申請(Import Permit。オンラインで申請可能)
NZ到着後の検疫隔離
ニュージーランド到着後、オークランドのMPI認定施設で最低10日間の検疫隔離が義務付けられています。かつては30日間でしたが、2024年に短縮されました。
隔離施設の費用は、犬で1日あたり約25〜35NZD(約2,300〜3,220円)、猫で約20〜30NZD(約1,840〜2,760円)。10日間で合計250〜350NZD(約23,000〜32,200円)程度です。
総費用の目安
日本からニュージーランドへの犬の輸送にかかる費用の内訳です。
| 項目 | 費用(目安) |
|---|---|
| マイクロチップ + ワクチン(2回) | 約15,000〜25,000円 |
| 狂犬病抗体検査 | 約13,000〜15,000円 |
| 寄生虫駆除処理 | 約5,000〜10,000円 |
| 輸出前検査 + 証明書 | 約10,000〜20,000円 |
| MPI Import Permit | 約230NZD(約21,160円) |
| 航空輸送(カーゴ) | 約2,000〜4,000NZD(約184,000〜368,000円) |
| 検疫隔離(10日間) | 約250〜350NZD(約23,000〜32,200円) |
| 合計 | 約30万〜50万円 |
ペット輸送専門業者に一括依頼する場合は、これに手数料が加わり50〜80万円程度になることもあります。
持ち込めない動物
犬・猫以外はほぼ不可です。うさぎ・フェレット・ハムスター・爬虫類は持ち込み禁止。特にうさぎはオーストラリアでの野生化被害を踏まえ、NZでは飼育自体が禁止されています。鳥類も大半が不可。
到着後のペット生活
犬はDog Control Act 1996に基づきカウンシルへの登録が義務です。登録料は去勢・避妊済みで約100〜150NZD/年(約9,200〜13,800円)、未去勢だと約200〜300NZD/年。獣医の初診料は60〜100NZD(約5,520〜9,200円)、ペット保険は月額30〜60NZD(約2,760〜5,520円)程度です。
賃貸については、2024年のResidential Tenancies Amendment Actでテナントのペット飼育権が強化されましたが、実態としてペット不可物件はまだ多く、特にアパートメントでは制限がかかることがあります。
最大のハードルは「時間」
費用も高いですが、最大のハードルは準備期間です。マイクロチップ装着→ワクチン2回→抗体検査→結果待ち→寄生虫処理→輸出検査——これを順番にこなすと、最短でも6ヶ月。書類の不備や検査のやり直しがあると8ヶ月以上かかることもあります。
渡航が決まったら、住居や仕事の準備と並行して、即座にペットの輸出準備を開始する必要があります。「後で考える」では間に合いません。