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スーパーが2社しかない国——NZの食品価格が高い構造的理由

NZの食品小売市場はFoodstuffs(New World/PAK'nSAVE)とWoolworths(Countdown)のほぼ2社寡占。この構造が食品価格・品揃え・消費者行動にどう影響しているかを分析する。

2026-05-20
スーパーマーケット食品価格寡占物価買い物

この記事の日本円換算は、1NZD≒92円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(NZD)の金額を基準にしてください。

ニュージーランドの食品小売市場は、世界でも珍しい「2社寡占」だ。Foodstuffs(New World、PAK'nSAVE、Four Square)とWoolworths NZ(Countdown)がシェアの約90%を握っている。

NZ Commerce Commission(商業委員会)の2022年の調査で、NZの食品価格はOECD平均を約10〜15%上回り、隣国オーストラリアと比較しても同じ商品が20〜30%高いケースがあると報告された。

人口520万人の島国で、スーパーが2社しかない。この構造が食品価格に何をもたらしているか。

寡占の成り立ち

NZの食品小売市場は1970〜80年代に急速に集約が進んだ。小規模なグロッサリーストアが大手に吸収され、参入障壁が上がった。特に以下の要因が新規参入を阻んでいる。

  • 土地のゾーニング規制: スーパーマーケットの建設に適した広い土地が、既存2社によって長期リースで押さえられている
  • サプライチェーンの寡占: 流通も2社のグループ会社が支配しており、独立系のスーパーが仕入れコストで太刀打ちできない
  • 人口規模: 520万人の市場に3社目が参入しても、規模の経済が働きにくい

具体的な価格差

日本人在住者が体感する価格の高さを具体的に見てみる。

商品NZ価格(目安)日本のスーパー(目安)
牛乳 2L4.50NZD(414円)350〜400円
食パン 1斤3.50〜5.00NZD(322〜460円)150〜250円
鶏むね肉 1kg13〜18NZD(1,196〜1,656円)600〜800円
バター 500g6.00〜7.50NZD(552〜690円)400〜500円
チーズ 1kg12〜16NZD(1,104〜1,472円)800〜1,200円

NZは酪農大国であり乳製品は国内で大量に生産されているが、Fonterra(世界最大の乳製品輸出企業)が国際価格で輸出するため、国内価格が国際市場に引っ張られる構造がある。自国で作った乳製品が、輸入国より高い——という逆説的な状況だ。

Commerce Commissionの介入

2022年の市場調査の結果、Commerce Commissionは以下の提言を行った。

  • 卸売へのアクセス開放: 既存2社の流通網を新規参入者にも開放する規制の検討
  • 土地のコベナント制限: 既存2社がスーパーマーケット用地を長期独占する契約(land covenants)の禁止
  • 価格透明性の向上: 消費者が価格を比較しやすいデータベースの整備

2023年にはドイツ発のディスカウントスーパーAldi(オーストラリアで展開中)のNZ進出の噂が出たが、2025年時点で実現していない。

日本人の買い物戦略

  • PAK'nSAVEが最安: Foodstuffsグループの中でもPAK'nSAVEはディスカウント路線。内装は倉庫風で品揃えも限定的だが、価格は最も安い
  • Countdown(Woolworths)はオンライン配達が充実: 忙しい家庭には便利。配達料は6〜14NZD
  • New Worldはプレミアム路線: 品質重視・輸入品が多い。日本食材の品揃えはNew Worldが一番良い傾向
  • アジアンスーパー: オークランドやウェリントンにはアジア食材店があり、日本の調味料・冷凍食品はそちらの方が安い

食品価格の高さは、NZに住む上で最も体感しやすいコストだ。寡占構造が変わらない限り、価格の劇的な低下は望みにくい。買い物の工夫で月の食費を1〜2万円は変えられるため、最初の数ヶ月で各スーパーの価格帯を把握しておくことを推奨する。

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