タ・モコ——マオリの刺青が語るもの
タ・モコはマオリの伝統的な顔への刺青(彫り物)だ。単なる装飾ではなく、系譜・身分・精神的地位を刻むものだった。現代に復活するタ・モコとその文化的意味。
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ニュージーランドで顔や唇に刺青のある人を見たとき、それがタ・モコ(tā moko)であれば、ただの装飾ではない。系譜(whakapapa)を皮膚に刻んだものだ。
タ・モコは伝統的なマオリの彫り物(刺青)で、顔・あごあたりに施されることが多い。模様はそれぞれ個人の先祖、出身イウィ(部族)、社会的地位を表す一意のデザインだ。他人のタ・モコをコピーすることは、その人の系譜を盗むことと同義とされる。
植民地時代、タ・モコはキリスト教的観点から「野蛮」とみなされ、マオリ社会の中でも衰退した。20世紀中頃には、顔のタ・モコを持つ人はほとんど高齢者だけになった。
文化的ルネサンスとも言われる1970〜80年代のマオリ文化復興の動きの中で、タ・モコも再評価された。今日では、マオリ系の若者が自分の系譜と誇りを表すためにタ・モコを選ぶことが増えている。
「マオリ系でない人が、デザインだけを取り入れたファッションタトゥーを入れてもいいか」——これはNZで繰り返し議論されるテーマだ。
マオリのコミュニティの多くは、個人の系譜を持たない人が本物のタ・モコのデザインを入れることを「文化の盗用(cultural appropriation)」として問題視する。一方で、「キリ・トゥヒ(kirituhi)」という言葉がある。これはマオリ以外の人がマオリデザインに着想を得て制作した彫り物を指す言葉で、タ・モコとは区別するものだ。
タ・モコのアーティストの多くはマオリ系で、デザインの制作前にクライアントの系譜についてリサーチするプロセスを踏む。クライアントが何者かを知った上で、その人専用のデザインを作る——それがタ・モコの本質だという立場だ。
NZに住むと、タ・モコを持つ人に出会う機会がある。その模様の意味を「かっこいい」と言う前に、それが誰かの家族の歴史であることを知っていると、見方が変わる。