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データ・統計

在留邦人の密度マップを作ったら、日本人がどこに固まっているかよく分かった

在留邦人数を各国の人口で割り「人口100万人あたりの日本人数」を算出。シンガポール・バンコク・ロサンゼルスを比較すると、日本人が多いの意味が変わる。

2026-04-07
在留邦人統計人口密度シンガポールタイアメリカ

「日本人が多い国」と聞いて、アメリカやタイを思い浮かべる人は多い。実際、外務省の海外在留邦人数調査統計(2023年10月時点)によると、アメリカの在留邦人数は約41.5万人、タイは約7.2万人で世界1位と4位だ。

でもこの数字、国の人口を考慮していない。

「多い」を人口比で見ると景色が変わる

在留邦人数をその国の人口で割って「人口100万人あたりの日本人数」を出してみる。

在留邦人数人口(概算)人口100万人あたりの日本人
アメリカ41.5万人3.36億人約1,235人
タイ7.2万人7,200万人約1,000人
オーストラリア9.9万人2,650万人約3,736人
シンガポール3.1万人564万人約5,496人
韓国4.3万人5,200万人約827人
マレーシア2.1万人3,400万人約618人

※在留邦人数: 外務省「海外在留邦人数調査統計」(2023年10月1日時点)。人口: 各国政府統計・国連推計(2023年概算)

シンガポールが圧倒的に濃い。人口100万人あたり約5,500人。アメリカの4倍以上だ。

シンガポールの「濃さ」が意味するもの

シンガポールの国土面積は約733km2。東京23区(約628km2)とほぼ同じ。そこに3.1万人の日本人が住んでいる。

これは「街を歩けば日本人に会う」レベルの密度だ。オーチャード通りのスーパーで日本米を買う人がいる。ホーカーセンターで日本語が聞こえる。子どもの学校で隣の席が日本人。そういう日常が成立する。

一方、アメリカは41.5万人もいるが、国土面積983万km2に分散している。ロサンゼルス都市圏に集中しているとはいえ、その都市圏だけで人口1,300万人。日本人は「たくさんいるが、薄い」。

密度が高いと何が起きるか

日本人の密度が高い場所では、独自の経済圏ができる。

シンガポールには日本語だけで完結する生活インフラが揃っている。日系クリニック、日本食材スーパー、日本語対応の不動産会社、日本人学校。これらが成立するのは「商圏内の日本人客が十分にいる」からだ。

密度が低い場所ではこうはいかない。ドイツの在留邦人は約4.2万人だが、ベルリン・デュッセルドルフ・ミュンヘンなどに分散している。デュッセルドルフだけは日本人密度が異常に高く(約8,000人が集中)、日本食レストラン街やインマーマン通りの日本人街が形成されているが、他の都市では日本語だけでの生活は厳しい。

都市圏で見るともっと面白い

国単位ではなく都市圏で計算すると、もっとシャープな数字が出る。

バンコク都市圏(人口約1,050万人)に日本人は推定5万人以上が集中している。人口100万人あたり約4,760人。これはシンガポール全体とそう変わらない密度だ。

つまりバンコクのスクンビット通り周辺は、実質的にシンガポールと同じくらいの「日本人濃度」で生活できるエリアということになる。

ロサンゼルス都市圏(人口約1,300万人)には推定7〜8万人の日本人がいるとされ、人口100万人あたり約5,400〜6,200人。数字上はシンガポール並みだが、都市圏が広すぎて体感密度は低い。トーランスやサウスベイに固まっているとはいえ、車社会で移動距離が長いから「街を歩いて日本人に会う」感覚にはなりにくい。

密度が教えてくれること

在留邦人数は「量」の指標で、人口比の密度は「質」の指標だ。

密度が高い場所は日本人コミュニティが自立しやすい。情報が回る。助け合いが機能する。ただし同時に「日本人村」になって現地社会との接点が減るリスクもある。

密度が低い場所は孤立しやすいが、現地に溶け込まざるを得ないぶん語学力が伸び、異文化への理解も深まる。

どちらが良いという話ではない。ただ「日本人が多い」の意味は、絶対数だけでは見えない。自分がどういう海外生活を送りたいかによって、密度の高低どちらが合うかは変わる。

移住先を選ぶとき、在留邦人数のランキングだけ見て決めるのはもったいない。人口で割った「濃さ」まで見ると、その国での日常の解像度が一気に上がる。

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