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海外移住・フリーランス

フリーランスで海外移住するなら、シンガポールとドバイで何が根本的に違うか

「どちらも税率が低い」で選ぶと失敗する。シンガポールとドバイのビザ構造・銀行口座・稼ぎ方の制限を職種別に整理し、自分の稼ぎ方に合う方を判断する材料を渡す。

2026-04-06
フリーランスシンガポールドバイUAE移住ビザ

「シンガポールは税金が安い」「ドバイは所得税ゼロ」。フリーランスが海外移住を検討するとき、この2つの都市はよく比較される。だが、税率だけで選ぶと構造的なミスマッチに気づくのが遅れる。

ビザ構造が根本的に違う

ドバイ: フリーランスビザが存在する

ドバイ(UAE)にはフリーランス専用のビザがある。フリーゾーン(DMCC、Dubai Media City、Dubai Internet City等)でフリーランスライセンスを取得し、そこに紐づく居住ビザを発行する仕組みだ。

費用はフリーゾーンにより異なるが、ライセンス+ビザで年間AED 8,500〜14,200(約37万〜61万円)程度(2025年時点)。2年更新で、更新費用はAED 8,500〜9,500。

フリーランスビザの保持者は、特定の雇用主に紐づかない。複数のクライアントと契約でき、UAE内外から収入を得られる。個人所得税はゼロ。

シンガポール: フリーランスビザが存在しない

シンガポールにはフリーランス向けの専用ビザがない。フリーランスとしてシンガポールに住むには、以下のいずれかのルートを取る必要がある。

ビザ要件フリーランスとの相性
Employment Pass(EP)最低月給SGD 5,600 + 雇用主が必要雇用主が必要なので不向き
EntrePass起業家向け。事業計画書・資金証明が必要法人設立が前提。個人事業は不可
Overseas Networks & Expertise Pass(ONE Pass)月給SGD 30,000以上 or 著名な実績高収入フリーランスなら可能
Personalised Employment Pass(PEP)海外での固定月給SGD 22,500以上元の雇用先の給与実績が必要

シンガポールでフリーランスをするには、実質的にはONE Pass(月給SGD 30,000=約372万円)を取るか、法人を設立してEntrePassを申請するか、どちらかになる。ハードルはドバイより圧倒的に高い。

銀行口座の開きやすさ

ドバイ: フリーランスビザ保持者は、Emirates ID(居住者ID)を取得すれば個人銀行口座を開設できる。ただし、フリーゾーンのライセンスだけでは法人口座を開くのが難しいケースがある。2025年の規制強化により、銀行のKYC(本人確認)が厳格化されており、口座開設に1〜3ヶ月かかることもある。

シンガポール: 法人を設立すれば法人口座は開設できるが、審査は厳しい。DBS、OCBC、UOBの3大銀行は非居住者のフリーランス個人に対して口座開設に慎重だ。EPやONE Passを持っていれば個人口座は比較的スムーズに開ける。

どちらも「行けばすぐ開ける」わけではない。ドバイの方が個人のフリーランスにとってはハードルが低い。

稼ぎ方の制限

ドバイのフリーゾーン制限: フリーゾーンで登録したフリーランスは、UAE国内のメインランド企業に直接サービスを提供することに制限がある。海外クライアントからの受注には制限がないが、UAE国内の顧客を直接開拓するには、メインランドのライセンスが別途必要になる場合がある(2025年の規制緩和で一部改善)。

つまり、「ドバイに住んで、日本や海外のクライアントにリモートで仕事する」パターンなら問題ない。「ドバイの現地企業を顧客にする」パターンでは追加手続きが必要。

シンガポールの制限: EPやONE Passを取得すれば、シンガポール国内外のクライアントに対して制限なくサービスを提供できる。法人を設立していれば、法人の事業範囲内で自由に営業できる。

法人税の比較

フリーランスでも年間売上が一定額を超えると、法人化のメリットが出てくる。

項目ドバイ(フリーゾーン)シンガポール
法人税率0%(フリーゾーン内・条件あり)→ 9%(2023年導入のUAE法人税、課税所得AED 375,000超)17%(ただし初年度はSGD 100,000まで75%免除、次のSGD 100,000は50%免除)
個人所得税0%0〜22%(累進課税、SGD 320,000超で22%)
GST/VAT5%(VAT登録義務はAED 375,000超)9%(GST登録義務はSGD 1M超)

ドバイの個人所得税ゼロは魅力的だが、2023年に導入されたUAE法人税(課税所得AED 375,000超で9%)により、「完全に無税」ではなくなった。

シンガポールは法人税17%だが、初年度の減免が大きく、スタートアップフェーズではSGD 100,000(約1,240万円)の利益まで実効税率4.25%で済む。

職種別の向き不向き

職種ドバイ向きシンガポール向き
Webエンジニア・デザイナー(リモート)○(フリーランスビザ + 海外クライアント)△(ビザのハードルが高い)
コンサルタント(海外クライアント中心)
ライター・マーケター○(低コストで始められる)×
金融・投資関連△(規制が厳しい)○(金融ハブとしてのインフラ)
法人営業(東南アジア市場)×(地理的に遠い)○(ハブ機能が強い)
スタートアップ創業者○(VCエコシステムが充実)

結論: 「どっちが得か」ではなく「どっちが合うか」

年商3,000万円以下のリモートフリーランスなら、ドバイの方が始めやすい。フリーランスビザは年間40〜60万円で取得でき、個人所得税ゼロ、生活コストもエリアを選べば抑えられる。

年商5,000万円以上で、東南アジア市場にアクセスしたい、VCから資金調達したい、法人としてスケールしたいなら、シンガポールの方が構造的に合っている。ビザのハードルは高いが、一度法人を設立すればビジネスインフラは東南アジア随一だ。

「税率だけで比較する」のではなく、「自分の稼ぎ方・クライアントの所在地・事業のスケール計画」で選ぶ方が、移住後のミスマッチが少ない。

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