Wiseと銀行送金、年100万円送るなら何年で差額が積み上がるか
Wiseとメガバンクの海外送金コストを年100万円・月1回送金の条件で5年分試算。手数料・為替レート差を積み上げると差額はいくらになるのか、具体的な数字で比較する。
海外在住で日本から送金を受ける、あるいは日本の家族に送金する。月に1回、年間100万円くらいの送金をしている人は多い。「Wiseのほうが安い」とは聞くけれど、実際に何年でいくら差が出るのか。具体的に計算してみる。
銀行送金のコスト構造
メガバンク(三菱UFJ・三井住友・みずほ等)で海外送金する場合、手数料は1回の送金につき複数の項目で発生する。
| 項目 | 金額(目安) |
|---|---|
| 送金手数料 | 3,000〜4,000円 |
| 為替手数料(TTSとTTBの差) | 送金額の約1〜2% |
| SWIFT手数料(中継銀行手数料) | 1,500〜4,000円 |
| 受取銀行手数料 | 0〜2,500円(受取銀行による) |
※2025年時点の一般的な水準。銀行・送金額・通貨によって異なる。最新情報は各銀行の公式サイトで確認を。
送金手数料だけ見ると3,000〜4,000円だが、見落とされやすいのが為替マージン。銀行が提示するレートには1円前後の上乗せ(スプレッド)が含まれているケースが多い。10万円の送金で約1,000〜2,000円が為替コストとして乗っている計算になる。
1回の送金にかかるトータルコスト: 約5,000〜8,000円(送金額10万円前後の場合)。
Wiseのコスト構造
Wiseの手数料は送金額と通貨ペアによって変動するが、構造はシンプル。
| 項目 | 金額(目安) |
|---|---|
| 送金手数料 | 送金額の約0.5〜1.0% |
| 為替レート | ミッドマーケットレート(上乗せなし) |
| SWIFT手数料 | なし |
| 受取手数料 | なし |
※2025年時点の一般的な水準。通貨ペア・送金方法によって変動する。最新情報はWise公式サイトで確認を。
Wiseの最大の特徴は、為替レートに上乗せがないこと。Googleで検索したときに表示されるミッドマーケットレート(仲値)がそのまま適用される。銀行の「隠れたコスト」である為替マージンがない分、表示手数料だけで全コストが完結する。
10万円を送金した場合のWise手数料: 約500〜1,000円。
年100万円送金した場合の比較
月1回・約8.3万円ずつ、年間12回で合計100万円を送金するケースで試算する。
銀行送金(メガバンク想定)
| 項目 | 1回あたり | 年間(12回) |
|---|---|---|
| 送金手数料 | 3,500円 | 42,000円 |
| 為替マージン(1.5%想定) | 約1,250円 | 約15,000円 |
| SWIFT手数料 | 2,500円 | 30,000円 |
| 受取手数料 | 1,500円 | 18,000円 |
| 合計 | 約8,750円 | 約105,000円 |
年間100万円の送金に対して約10.5万円のコスト。送金額の約10.5%が手数料で消えている計算。
Wise想定
| 項目 | 1回あたり | 年間(12回) |
|---|---|---|
| 送金手数料(0.7%想定) | 約580円 | 約6,960円 |
| 為替マージン | 0円 | 0円 |
| SWIFT手数料 | 0円 | 0円 |
| 受取手数料 | 0円 | 0円 |
| 合計 | 約580円 | 約6,960円 |
年間100万円の送金に対して約7,000円のコスト。送金額の約0.7%。
年間差額
約105,000円 − 約6,960円 = 約98,000円/年
年間約10万円近い差。月1回の送金を12回繰り返すだけで、これだけの差が出る。
5年・10年で積み上げるとどうなるか
この差額を年数で積み上げてみる。
| 期間 | 銀行送金の総コスト | Wiseの総コスト | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1年 | 約105,000円 | 約6,960円 | 約98,000円 |
| 3年 | 約315,000円 | 約20,880円 | 約294,000円 |
| 5年 | 約525,000円 | 約34,800円 | 約490,000円 |
| 10年 | 約1,050,000円 | 約69,600円 | 約980,000円 |
5年で約49万円、10年で約98万円の差。海外在住が長くなるほど、この差は無視できない金額になっていく。
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「少額だから気にしない」が一番高くつく
1回の送金で見ると、銀行とWiseの差は8,000円くらい。「まあそのくらいならいいか」と思う金額。
でもそれが毎月積み上がる。年12回×5年=60回。60回分の「まあいいか」が49万円になる。
海外在住者の送金は、引っ越し費用のように「1回きり」ではない。毎月、何年も続く固定コスト。だからこそ、1回あたりの差額が小さくても構造的に安いほうを選ぶ意味がある。
銀行送金が有利なケースもある
公平に書くと、銀行送金が合理的な場面もある。
大口送金(500万円以上/回): Wiseには1回あたりの送金上限がある(通貨ペアによるが100万〜300万円程度が一般的)。不動産購入資金や大口の資金移動では、銀行の電信送金を使わざるを得ないケースがある。
法人送金: 法人名義での送金は、取引銀行との関係や送金実績が求められる場合がある。Wiseの法人アカウントも使えるが、すべての法人が対応できるわけではない。
送金先が銀行口座以外: 一部の国では、Wiseの受取方法が限定される場合がある。現金受取や特定の決済サービスへの送金が必要なケースでは、銀行送金のほうが選択肢が広いことも。
送金頻度を減らすという選択肢
「銀行しか使えない」場合でも、コストを下げる方法はある。毎月10万円を送るのではなく、3ヶ月に1回30万円にまとめる。送金回数が年12回→4回に減れば、固定手数料部分(送金手数料+SWIFT手数料)だけで年4〜5万円の節約になる。
為替マージンは送金額に比例するので回数を減らしても変わらないが、固定費の削減効果は大きい。
まとめ——構造的に安い方を選ぶ
年100万円の海外送金を月1回のペースで続けると、銀行送金とWiseの差は年間約10万円。5年で約49万円、10年で約98万円。
この差は「どちらの手数料が安いか」という話ではなく、コスト構造が違うという話。銀行送金は固定費(送金手数料+SWIFT手数料)が毎回かかり、さらに為替マージンが乗る。Wiseは変動費(送金額の0.5〜1%)だけ。構造が違うから、回数を重ねるほど差が開く。
送金の用途やセキュリティの好みは人それぞれだが、少なくとも「いくら違うのか」を把握した上で選ぶのと、「なんとなく銀行」で続けるのとでは、数年後の結果がかなり違ってくる。
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