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フィリピンの13th Month Pay——年末ボーナスが法律で義務化されている国

フィリピンでは全ての雇用者に13th Month Pay(13ヶ月目の給与)の支給が法律で義務付けられています。制度の仕組みと外国人労働者への適用を解説します。

2026-05-03
13th Month Pay労働法給与ボーナス

この記事の日本円換算は、1PHP≒2.7円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨(PHP)の金額を基準にしてください。

フィリピンでは、雇用主は全ての従業員に「13th Month Pay」を支払う法的義務があります。日本のボーナスは会社の裁量ですが、フィリピンでは大統領令(Presidential Decree No. 851, 1975年)で定められた労働者の権利です。払わない雇用主は法律違反になります。

13th Month Payとは

13th Month Payは、1月1日から12月31日までに受け取った「基本給(Basic Salary)」の合計を12で割った金額です。つまり、1ヶ月分の基本給相当が追加で支給されます。

計算式:

13th Month Pay = 年間基本給の合計 ÷ 12

ここで注意すべきは「基本給」の定義です。残業手当、交通手当、食事手当、コミッションなどは基本給に含まれません。基本給のみで計算されます。

支給のルール

  • 対象者:1ヶ月以上勤務した全ての従業員(正規・契約・パートタイム問わず)
  • 支給期限:毎年12月24日まで
  • 途中退職の場合:勤務月数に応じた按分額を退職時に支給する義務がある
  • 管理職(Managerial)の扱い:管理職は法律上の義務対象外。ただし多くの企業は慣行として支給

月給PHP 25,000(約67,500円)の従業員であれば、12月にPHP 25,000が追加で支給されます。年収で見ると13ヶ月分の給与を受け取る計算です。

なぜ12月24日なのか

フィリピンのクリスマスは世界最長——9月から始まり12月まで続きます。12月はNoche Buena(クリスマスイブの家族ディナー)に向けた出費が最大になる時期です。13th Month Payはこの出費に充てられることが想定されています。

実際、12月のフィリピンのショッピングモールは異常な混雑です。SM(Shoe Mart)グループの12月の売上は通常月の2倍以上になるとされています。13th Month Payが消費経済を直接駆動している構造です。

外国人労働者への適用

フィリピンで雇用されている外国人にも13th Month Payは適用されます。外国人が例外になる規定はありません。

日系企業のフィリピン現地法人で働く日本人駐在員の場合:

  • 現地採用:フィリピンの労働法が適用されるため、13th Month Payの対象
  • 日本からの駐在員:日本の雇用契約が適用される場合は、フィリピン労働法の直接適用はない。ただし多くの日系企業は現地の慣行に合わせて相当額を支給

13th Month Payと税金

PHP 90,000(約243,000円)以下の13th Month Payは非課税です。これを超える部分には通常の所得税が課税されます。

月給PHP 7,500(約20,250円)以下の従業員は、13th Month PayがPHP 90,000を超えることはないため、全額非課税です。月給PHP 50,000(約135,000円)の場合は、PHP 50,000のうちPHP 90,000の上限内に収まるため、やはり全額非課税。高所得者のみ課税対象になる仕組みです。

違反した場合

13th Month Payを支給しない雇用主に対しては、DOLE(労働雇用省)が是正命令を出し、悪質な場合は刑事罰の対象にもなります。従業員はDOLEに直接申告できます。

フィリピンの労働法は、アジアの中では労働者寄りの制度設計が多い。13th Month Payはその象徴的な制度で、「ボーナスは会社の業績次第」という日本の常識とは異なる労働文化を体現しています。

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