フィリピンの闘鶏(サボン)は国民的娯楽であり、巨大産業だ
フィリピンの闘鶏(サボン)は政府公認の合法ギャンブル。週末には全国でコックピットが賑わう文化的背景、経済規模、外国人から見た視点を解説します。
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フィリピンの地方の町では、週末になると「コックピット(闘鶏場)」に人が集まる。地元の男性たちがニワトリを抱えて歩いている光景も珍しくない。闘鶏(サボン)はフィリピンの最も古い娯楽の一つであり、現在も政府公認の合法スポーツだ。
闘鶏の歴史
サボン(Sabong)はスペイン植民地時代以前からフィリピンにあった文化で、400年以上の歴史を持つとされる。スペイン人が来た際にすでにフィリピンで広く行われていたと記録されている。
植民地時代にも公認されて継続し、現代フィリピンでは「スポーツ・ゲーミング法」の下で規制・管理されている。AGと呼ばれる各地区のコックピット(闘鶏場)は政府の許可を得て運営している。
経済規模
フィリピンの闘鶏産業は驚くほど大きい。コックピットの数は全国で数千カ所に上ると言われ(推定)、週末のベット(賭け)の総額は数十億ペソ規模とも言われる。
コロナ禍では「e-Sabong」と呼ばれるオンライン闘鶏が爆発的に普及し、社会問題化したため政府が2022年に禁止した経緯がある。オンライン賭博への移行が急速に進んだ例として国際的にも注目された。
文化としてのサボン
地方の男性にとってサボン参加は社交活動でもある。自分のニワトリを育て、調整(コンディショニング)し、試合に臨む。勝ったニワトリは評価が上がり、繁殖に使われる。
「優良なパレタ(闘鶏用ニワトリ)」は数十万ペソで取引されることもあり、繁殖・育成が副業ビジネスになっている農村地域もある。
外国人から見た視点
外国人には衝撃的に映ることもある文化だが、フィリピン人にとっては子供の頃から見ている「普通のもの」だ。ただし闘鶏の結果、負けたニワトリが殺される(食用にされることが多い)点は事実として知っておきたい。
日本からの移住者がバランガイ・フィエスタなどでサボンに出くわすことがある。参加するかどうかは個人の判断だが、批判的な目線で語ることで地元との関係が壊れることもある。文化的な距離感を取りながら観察する姿勢が現実的だ。
今後の動向
動物福祉の観点からサボン廃止を求める声は国内外から上がっている。一方でフィリピンの地方文化・農家の収入源・税収という側面もあり、廃止の動きは政治的に難しい状況が続いている。この問題はフィリピン社会が持つ「伝統と近代」「農村と都市」のギャップを凝縮して見せてくれる。