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フィリピンの労働紛争解決ガイド——DOLEへの相談から和解までの流れ

フィリピンで雇用トラブルに遭った場合の相談窓口DOLE、和解手続き(SEnA)、NLRCへの申し立て方法を解説します。在比日本人の労務問題にも対応。

2026-05-24
フィリピン労働DOLE雇用労務

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フィリピンの労働法は、アジアの中でも労働者保護が手厚い部類に入る。解雇には正当事由(just cause)か認定事由(authorized cause)が必要で、不当解雇の場合は復職と未払い賃金の全額支払いが命じられる。

DOLEとは

DOLE(Department of Labor and Employment)はフィリピンの労働雇用省。労働条件の監督、労使紛争の調停、雇用政策の策定を行う。各地域にRegional Officeがあり、マニラ首都圏にはNCR(National Capital Region)オフィスがある。

SEnA(Single Entry Approach)——まず和解を目指す

2010年から導入されたSEnAは、裁判に至る前に労使紛争を和解で解決する制度だ。DOLEに「Request for Assistance(RFA)」を提出すると、30日以内にconciliation-mediation(調停)が行われる。

RFAに必要なもの:

  • 申立人の身分証明書
  • 雇用契約書のコピー(ある場合)
  • 給与明細や勤務記録(ある場合)
  • 紛争の内容を記した書面

費用は無料。DOLEの調停官(SEnA Desk Officer)が双方の主張を聞き、和解案を提示する。和解が成立すれば合意書に署名して終了。

NLRCへの申し立て

SEnAで和解に至らなかった場合、NLRC(National Labor Relations Commission)に正式な労働訴訟を提起できる。NLRCは準司法機関で、不当解雇、未払い賃金、ハラスメント等の案件を裁定する。

NLRCへの申し立ても費用は無料だが、弁護士を立てる場合は弁護士費用が発生する。労働案件に強い弁護士の相場は、案件の規模にもよるがPHP 30,000〜100,000(約81,000〜270,000円)程度の着手金が目安。

在比日本人が直面しやすいケース

  • 不当な解雇通告: 試用期間中の解雇でも、フィリピン法では正当事由が必要
  • 13th month payの未払い: フィリピンの労働法が義務付ける年末賞与。12月に支給されない場合はDOLEに相談できる
  • 残業代の不払い: 法定労働時間(8時間/日)を超える労働には25%増し(通常日)、30%増し(休日)の割増賃金が必要

日本の感覚で「試用期間中だから即解雇できる」と考えると、フィリピンでは法的リスクを負うことになる。雇用主側の日本人も、被雇用者側の日本人も、フィリピンの労働法の原則——「労働者に有利に解釈する(pro-labor interpretation)」——を知っておく必要がある。

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