フィリピン人の英語力と日本人が学べること
フィリピンはアジアで最も英語が通じる国のひとつ。日本人の英語習得に有利な環境がなぜフィリピンにあるのか。現地在住・留学経験者の視点で整理します。
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マニラで道に迷って地元の人に英語で話しかける。流暢な英語が返ってくる。道案内だけでなく、どこから来たか、何をしに来たかという会話に発展する。これは東南アジアの多くの国では起きにくいことだ。
フィリピンでは英語が公用語のひとつとして位置づけられており、教育・行政・メディアで広く使われている。
なぜフィリピンで英語が根付いたか
フィリピンの英語普及はアメリカによる植民地統治(1898〜1946年)に起源がある。アメリカは統治政策として、英語による公教育制度を全土に整備した。現在のフィリピンの学校教育は英語とフィリピノ語(タガログ語)の二言語制で行われており、理数系科目・多くの専門科目は英語で教えられる。
EF(Education First)が発表する英語習熟度指数(EF EPI, 2023年版)によると、フィリピンはアジア地域でシンガポールに次ぐ上位に位置している。
日本人が語学留学先にフィリピンを選ぶ理由
英語習得目的でフィリピン(特にセブ島・マニラ周辺)を選ぶ日本人は増加傾向にある。
主な理由は3点だ。
コストパフォーマンス: マンツーマン授業が標準のセブ語学学校は、週25時間の個人レッスン込みで1ヶ月30,000〜80,000PHP(81,000〜216,000円)程度。英語圏のオーストラリア・カナダ・英国と比較すると大幅に安い
授業の密度: セブのESL学校の多くは1日6〜8時間の授業が標準で、日本の英会話スクールとは密度が異なる
日本人に発音が聞き取りやすい: フィリピンのアクセントは母音がはっきりしているため、日本語話者には聞き取りやすいという声がある
フィリピンで働く日本人が学ぶもの
語学留学目的ではなく、フィリピンで就労・在住する日本人にとって、フィリピン人の英語習慣から学べることは別の文脈にある。
フィリピンのビジネスマンは英語でのメール、プレゼンテーション、交渉を自然にこなす。日本人が「翻訳してから書く」感覚でアプローチするのに対し、フィリピン人は「英語で考える」ことに慣れている。
この差を縮めるには、仕事の場で英語を使い続ける環境に身を置くことが最も効率的だという結論に至る在住者が多い。フィリピン人の同僚との日常業務を英語でこなすことが、英語力向上の実質的なトレーニングになる。
過剰な期待には注意
「フィリピンで英語ができるようになる」という期待が過剰になるケースがある。
短期語学留学(1〜3ヶ月)で英語力が劇的に変わることは統計的に見ても稀だ。フィリピンに住んでも日本人コミュニティに閉じた生活をしていれば英語の上達は限られる。語学力が伸びるのは「英語を使わざるを得ない状況をどれだけ作るか」によるところが大きい。
フィリピンの英語環境が提供するのは「使う機会」だ。その機会をどれだけ活かすかは、自分次第になる。