フィリピンで外国人がビジネスを始める——PEZA・法人設立の現実
フィリピンで事業を始めたい外国人が知っておくべきこと。外資規制(外国人所有制限)、PEZA登録のメリット、法人設立の流れと現実的な課題をまとめます。
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フィリピンはASEANの中では外国人の単独ビジネス参入に制限が多い国のひとつです。「フィリピンでビジネスをしたい」と思った場合、まず「外資規制(Foreign Equity Restrictions)」の壁を理解することから始まります。
外国人所有制限(外資規制)
フィリピンでは、外国人が単独で100%所有できる業種は限られています。「外国投資ネガティブリスト(Foreign Investment Negative List)」に指定された業種では、外国人の出資比率が制限されます。
主な制限の例:
| 業種 | 外国人所有上限 |
|---|---|
| 小売業(資本金250万ドル未満) | 0%(外国人不可) |
| 広告業 | 30% |
| 天然資源の探索・利用 | 40% |
| 飲食業(100席未満等の条件付き) | 規制あり |
| ITサービス(条件付き) | 100%可能なケースあり |
これにより、多くのビジネスでフィリピン人パートナーが必要になります。パートナー選びは事業成功の鍵であり、最大のリスク要因でもあります。
PEZA(フィリピン経済区庁)登録
PEZA(Philippine Economic Zone Authority)は、特別経済区内での外資100%出資・税制優遇(所得税の免除や優遇税率)を提供する制度です。
PEZAの主なメリット:
- 外資100%所有が可能(製造業・輸出志向ビジネス・ITサービス等)
- 法人所得税の免除または特別税率:ITサービス・BPO(Business Process Outsourcing)はPEZA登録で優遇税制の対象になるケースがある
- 関税免除:輸出加工区では輸入機材・原材料の関税免除
外資系ITサービス・コールセンター・製造業がPEZAエコゾーン内(マニラ近郊のAyala Triangle Parks、Eastwood City等)に事業所を設ける理由はこの優遇にあります。
法人設立の流れ
フィリピンでの一般的な法人形態は**株式会社(Corporation)または支店(Branch Office)**です。
設立の主なステップ:
- SEC(証券取引委員会)への法人登録
- BIR(内国歳入庁)への税務登録・TIN取得
- LGU(地方自治体)へのビジネスパーミット取得
- SSS・PhilHealth・Pag-IBIG(社会保険)登録
手続きにかかる時間は、スムーズに進んでも2〜4ヶ月程度が目安です。現地の弁護士・会計士の起用が事実上必須です。
現実的な課題
フィリピンでビジネスを始めた在住外国人からよく聞く課題は以下のとおりです。
- フィリピン人パートナーのリスク:外資規制のためフィリピン人名義が必要なケースで、信頼できるパートナー選びに失敗した事例がある
- 官僚主義と許認可の長期化:LGUのビジネスパーミット更新が毎年必要で、手続きに時間がかかる
- 電力コスト:フィリピンの電力料金はアジアの中では高い部類(製造業のコスト計算に注意)
日本の中小企業・個人がフィリピンでビジネスを始める場合、まず現地の日系法律事務所・日本商工会議所(JCCI)に相談する選択肢があります。