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フィリピンの外国人税務——TIN番号・BIR申告・在住者が知るべき基礎

フィリピンで就労・事業をする外国人のTIN(税務識別番号)取得方法、所得税率(0〜35%)、BIR申告スケジュール、BIR窓口対応の現実を解説。

2026-04-25
フィリピン税務TINBIR所得税就労外国人

この記事の日本円換算は、1PHP≒2.7円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(PHP)の金額を基準にしてください。

フィリピンで給与をもらい始めたその月から、税務上の義務が発生する。「手続きが面倒だから後でいいか」と放置していると、気づいたときにはBIR(歳入庁)への未申告状態が積み上がっている。

特に外国人駐在員にとって油断しやすいのは、「雇用主が全部やってくれている」という思い込みだ。源泉徴収は雇用主が処理しても、申告義務は本人が負うケースがある。まず仕組みを理解しておきたい。


居住者・非居住者の区分

フィリピンの所得税法では、課税年度内に183日以上フィリピンに滞在した外国人は「居住外国人(Resident Alien)」として扱われる。

区分滞在日数課税対象
居住外国人(Resident Alien)183日以上フィリピン国内所得
非居住外国人(Non-Resident Alien)183日未満フィリピン国内所得(より高い源泉率が適用される場合あり)

「フィリピン国内所得」が対象のため、日本の銀行の利息や日本の不動産賃料などの海外所得は原則として課税されない。ただし事業形態によって解釈が異なる場合があるため、具体的な状況は税理士(CPA)に確認するのが確実だ。


所得税率(居住外国人の場合)

フィリピンの個人所得税は累進課税で、2018年の税制改革(TRAIN法)以降、以下の税率が適用されている(2026年時点)。

課税所得(年間、PHP)税率
250,000以下0%
250,001〜400,000超過分に15%
400,001〜800,00022,500PHP + 超過分に20%
800,001〜2,000,000102,500PHP + 超過分に25%
2,000,001〜8,000,000402,500PHP + 超過分に30%
8,000,001以上2,202,500PHP + 超過分に35%

年収250,000PHP(約67万5千円)以下は非課税。フィリピン在住の日本人駐在員は課税所得が高くなりやすく、30〜35%の最高税率が適用されることも多い。


TIN(Tax Identification Number)の取得

フィリピンで就労または事業を行う外国人には、TINの取得が義務付けられている。申請先はBIR(Bureau of Internal Revenue:フィリピン内国歳入局)だ。

必要書類(一般的な就労の場合):

  • パスポートのコピー
  • 就労許可証(AEP:Alien Employment Permit)または就労ビザ
  • 雇用契約書(または事業登録証)

TIN自体は無料で発行される。ただし窓口の混雑と書類不備による出直しが日常的で、手続きに半日〜1日かかることはよくある。雇用主の人事担当や会計士に代行を依頼するのが現実的だ。

注意点: TINは1人1番号が原則。複数の番号を持つことは違法とされている。転職後も同じTINを使い続ける。


BIR申告のスケジュール

申告種別期限対象
年次確定申告(ITR)4月15日居住外国人(給与所得者含む)
四半期申告各四半期末から45日以内事業・自営所得者
月次源泉徴収申告翌月10日(電子は翌月15日)雇用主

給与所得のみで雇用主が全額源泉徴収している場合、年次申告が免除になる場合もある(「Substituted Filing」制度)。ただし条件があるため、自身の雇用形態を確認することを勧める。


BIR窓口対応の現実

BIRへの手続きは「時間がかかる」という評判が定着している。

手続きの多くは対面窓口での対応が基本で、電子申告(eFPS)の利用も可能だが、登録に時間がかかる。確定申告の4月15日期限前後は窓口が非常に混雑する。

フィリピン在住の日本人の間では、日本語対応の税理士(CPA)や会計事務所に年間委託する形が一般的だ。年間費用はサービス内容によって異なるが、管理費込みで数万円台から対応する事務所もある。


日本との租税条約

日本とフィリピンは租税条約を締結している(1980年発効)。日本国内でも課税される可能性がある所得(例:日本の不動産賃料、配当)については、条約に基づいて主たる課税国を判断し、外国税額控除で二重課税を軽減できる。

フィリピン在住中に日本で確定申告が必要になるケースもあるため、両国の税理士と連携しておくのが安心だ。


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