フィリピンのインターネット事情——東南アジア最遅クラスの現実
フィリピンのインターネット速度は東南アジアで最も遅いレベルに長らく位置してきた。在住者としてリモートワークや生活に支障なく使うための現実的な対策を解説する。
この記事の日本円換算は、1PHP≒2.7円で計算しています(2026年4月時点)。
フィリピンに移住・赴任した人間の多くが最初にぶつかる問題の一つが、インターネット速度だ。Ooklaの「Speedtest Global Index」では、フィリピンのモバイル・固定回線速度は東南アジアの中でも下位に位置することが多い(2023〜2024年のレポート参照)。
シンガポール・タイ・マレーシアと比べると、その差は明確だ。
現状の速度感
マニラ市内の中心部(BGC、マカティ等)では、光ファイバーの固定回線を引けば50〜150Mbps程度は期待できる。高層コンドミニアムでは建物全体で共有するケースもあり、夜間に速度が落ちることがある。
地方・島では状況が変わる。セブ市内なら概ね問題ないが、セブ郊外・ボラカイ・パラワンなどの観光地やリゾートエリアでは5〜20Mbps以下になるケースが多い。ビデオ会議が頻繁に落ちる、ファイルのアップロードに時間がかかる——こうした不満はリモートワーカーから定番の声として出てくる。
主要通信キャリア
フィリピンの通信市場は主にPLDT・Globe・DITOの3社で構成されている。固定回線はPLDT(FiberX)とGlobeが強く、SIMカードはGlobeとDITOが外国人に使いやすい。
2024年時点でDITOは急速にエリアを拡大しており、競争によって他社のサービス改善も進んでいる。料金は固定回線で月1,500〜3,000PHP(4,050〜8,100円)程度が標準的なプランだ。
リモートワーカーの対策
実際にフィリピンでリモートワークをしている在住者が取る対策は以下のようなものだ。
バックアップ回線の複数持ち: 固定回線が落ちたときのためにSIMカード(別キャリア)のモバイルデータをバックアップとして使う。
コワーキングスペースの活用: マニラ・BGCやマカティには外国人向けのコワーキングスペースが充実しており、安定した高速回線を使える。月額5,000〜15,000PHP(13,500〜40,500円)程度。
住居選びで回線を確認: 入居前に実際の速度を測定するか、現住人に聞く。「WiFiあり」の表示だけでは速度がわからない。
改善は進んでいるか
2022年以降、フィリピン政府はインフラ整備を推進しており、国家ブロードバンド計画のもとでファイバー網の拡張が進んでいる。Speedtestのデータでも2021〜2023年にかけて平均速度の改善傾向が見られる。
ただし改善ペースは日本・シンガポールの水準には遠い。「フィリピンに住みながら日本と変わらない通信環境を求める」のは、現時点では期待値を修正した方がいい。住む場所を絞り、対策を重ねることで、リモートワークは十分できる環境を整えることは可能だ。