フィリピンでメイドとドライバーを雇う——給与相場・契約・労働法の基礎知識
フィリピンでは家政婦(メイド)やドライバーの雇用が一般的です。在住日本人が知っておくべき給与相場、雇用契約、労働法上の義務を整理します。
この記事の日本円換算は、1PHP≒2.7円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(PHP)の金額を基準にしてください。
フィリピンに住む外国人の多くがメイド(Kasambahay / 家事労働者)やドライバーを雇っている。日本では想像しにくいが、フィリピンでは中間層以上の家庭でも家事労働者を雇うのは一般的だ。フィリピン統計局の労働力調査(2023年)によると、推定約150万人以上がKasambahayとして雇用されている。
給与相場
マニラ首都圏の2025年時点の目安:
| 職種 | 住み込み | 通い |
|---|---|---|
| メイド(一般) | PHP 8,000〜15,000/月(約21,600〜40,500円) | PHP 10,000〜18,000/月(約27,000〜48,600円) |
| メイド(料理・育児対応) | PHP 12,000〜20,000/月(約32,400〜54,000円) | PHP 15,000〜25,000/月(約40,500〜67,500円) |
| ドライバー | — | PHP 15,000〜25,000/月(約40,500〜67,500円) |
| ヤヤ(子守専任) | PHP 10,000〜18,000/月(約27,000〜48,600円) | PHP 12,000〜20,000/月(約32,400〜54,000円) |
外国人家庭は現地相場より20〜50%高い給与を提示するのが一般的だ。英語力や料理スキル(日本食が作れる等)があるとさらに上がる。
Kasambahay法(RA 10361)
2013年に施行されたKasambahay法(Republic Act 10361)は、家事労働者の権利を法律で保護している。雇用主が守るべき主な義務:
- 最低賃金: マニラ首都圏ではPHP 6,000/月(通い・住み込み共通)。ただし実態はこれ以上
- SSS(社会保険)・PhilHealth(健康保険)・Pag-IBIG(住宅基金)への加入: 雇用主負担で加入する義務がある
- 13th Month Pay: 12月に1ヶ月分の給与を追加支給する義務(フィリピンの全労働者に適用)
- 有給休暇: 1年勤務後に年5日の有給休暇
- 休日: 週1日以上の休日を保証
- 住み込みの場合: 個室の提供、食事の提供が義務
雇用契約の作成
法律上、書面の雇用契約が義務付けられている。契約書に含めるべき項目:
- 業務内容(掃除、洗濯、料理、子守等の範囲を明記)
- 勤務時間・休日
- 給与額・支払い日
- 社会保険の加入
- 解雇条件・退職時の手続き
- 住み込みの場合の生活条件
テンプレートはDOLE(Department of Labor and Employment / 労働雇用省)のウェブサイトからダウンロードできる。
採用の方法
知人の紹介: 最も一般的で信頼性が高い。在住日本人コミュニティ、ビレッジの他の家庭、現在のメイドの親族からの紹介。
エージェント: メイド・ドライバー専門の斡旋業者。紹介手数料は1〜2ヶ月分の給与相当。身元調査やNBI Clearance(犯罪歴証明)の取得を代行してくれる。
オンライン: Facebook GroupsやGreatHire等のプラットフォーム。ただし身元確認は自分で行う必要がある。
在住日本人が気をつけるポイント
NBI Clearance(犯罪歴証明書)の確認: 採用前に必ず提出してもらう。費用はPHP 155(約419円)で本人が取得する。
試用期間を設ける: 最初の1〜2ヶ月を試用期間として設定し、相性を確認する。
コミュニケーション: フィリピン人は直接的な批判を避ける傾向がある。問題がある場合でも「はい」と答えることが多い。指示は具体的に、確認は丁寧に行う。
Utang na loob(恩義): 長く勤めてくれたメイドへの「感謝の気持ち」は金銭だけでなく、家族の病気や子どもの学費の相談に乗るなどの形で表れる。この関係性がフィリピンの雇用文化の特徴だ。