マニラ湾の夕焼けと埋め立て問題——「世界三大夕焼け」の今
かつて「世界三大夕焼け」のひとつと称されたマニラ湾。大規模埋め立て計画が進む今、その絶景はどう変わりつつあるのか。
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「マニラ湾の夕焼けは世界三大夕焼けのひとつ」——この表現をフィリピンの観光案内でよく見かける。ただし「世界三大夕焼け」の出典は曖昧で、公式な国際機関による認定ではなく、フィリピン側が自称してきた表現に近い。
それでも、マニラ湾に沈む夕日が美しいのは確かだ。ロハス・ブールバードから眺めるオレンジと紫の空は、マニラ在住者の記憶に刻まれている。
マニラ湾は、歴史的に見ると変化を重ねてきた海だ。スペイン時代からガレオン貿易の港として機能し、第二次世界大戦中は激しい海戦の舞台になった。独立後は海洋汚染が進み、2010年代には水質が著しく悪化した。
2019年、政府がマニラ湾の浄化作戦を開始した。人工白砂の搬入でビーチエリアを整備し、「白い砂のマニラ湾ビーチ」として公開された。環境団体からは「見た目だけの改善で根本的な水質浄化ではない」という批判も出たが、多くの市民が久しぶりの海岸線を楽しんだ。
より大きな変化をもたらそうとしているのが、大規模埋め立て計画だ。マニラ湾岸を対象にした複数の埋め立てプロジェクトが許可され、新しい経済区・港湾・住宅地の開発が計画されている。
支持者は雇用創出・経済成長・老朽インフラ更新を利点として挙げる。反対意見は「浅い湾内の埋め立ては洪水リスクを高め、漁業資源を破壊し、マングローブ林を失わせる」と指摘する。マニラは低地が多く、大雨や台風時の浸水に悩まされており、埋め立てによる排水能力低下は実際的なリスクだ。
沿岸で生計を立ててきた漁民コミュニティへの影響も無視できない。マニラ湾岸の漁村は長年にわたり都市化の圧力と戦ってきたが、大規模開発が進めば居場所を失う住民が出てくる。
マニラ湾の夕焼けを眺める場所は今も存在する。ただ、その背後にある開発の動きと環境への影響を知ってから見ると、沈んでいく太陽の色の意味がほんの少し変わって見える。