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フィリピンの公的医療保険PhilHealth——外国人の加入方法と給付内容

フィリピンの国民健康保険PhilHealthについて、外国人の加入手続き・保険料・給付内容・民間保険との使い分けを解説します。

2026-05-03
PhilHealth医療保険健康保険医療

この記事の日本円換算は、1PHP≒2.7円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨(PHP)の金額を基準にしてください。

フィリピンの公立病院に入院した場合、PhilHealth(フィルヘルス)に加入していないと全額自己負担です。1泊のICU入院でPHP 30,000〜80,000(約81,000〜216,000円)かかることがあります。PhilHealthに加入していれば、この一部がカバーされます。

PhilHealthとは

PhilHealth(Philippine Health Insurance Corporation)はフィリピンの国民皆保険制度です。1995年に設立され、2019年のUHC法(Universal Health Care Act)により、全フィリピン国民の自動加入が義務化されました。

外国人も、フィリピンで就労している場合は加入義務があります。

外国人の加入手続き

フィリピンで雇用されている外国人の加入方法:

  1. 雇用主経由の登録:フィリピンの企業に雇用されている場合、雇用主がPhilHealthへの登録手続きを行う
  2. 必要書類:パスポート、AEP(外国人雇用許可証)、雇用契約書
  3. PhilHealth ID番号が発行される:医療機関での受診時に必要

自営業(個人事業主)の外国人は、最寄りのPhilHealth事務所で直接登録できます。

保険料

2025年の保険料率は月収の5%(雇用主と従業員で折半)です。

月収月額保険料(本人負担分)
PHP 10,000(約27,000円)PHP 250(約675円)
PHP 30,000(約81,000円)PHP 750(約2,025円)
PHP 50,000(約135,000円)PHP 1,250(約3,375円)
PHP 100,000以上PHP 2,500(約6,750円)※上限

月収PHP 100,000以上の場合、保険料は月額PHP 5,000(本人負担PHP 2,500)が上限です。

給付内容

PhilHealthの給付は、入院・外来・薬剤・検査の費用を一部カバーします。ただし、給付額には上限(Case Rate)が設定されています。

主な給付例:

  • 一般入院(肺炎等):PHP 15,000〜32,000(約40,500〜86,400円)
  • 外科手術(虫垂炎等):PHP 24,000〜31,000(約64,800〜83,700円)
  • 出産(正常分娩):PHP 6,500(約17,550円)
  • 出産(帝王切開):PHP 19,000(約51,300円)
  • 外来診療:年間PHP 2,500(約6,750円)まで

ここが最大の注意点です。PhilHealthの給付額は実際の医療費を全額カバーするわけではありません。私立病院の入院費がPHP 200,000(約540,000円)の場合、PhilHealthの給付はその一部(PHP 30,000〜50,000程度)にとどまります。

PhilHealthだけでは不十分な理由

フィリピンの公立病院は慢性的に混雑しており、設備も限定的です。在住外国人の多くは私立病院(Makati Medical Center, St. Luke's Medical Center等)を利用しますが、私立病院の費用はPhilHealthの給付額を大幅に超えます。

そのため、PhilHealthに加えて民間医療保険(HMO: Health Maintenance Organization)に加入するのが一般的です。

主なHMO:

  • Maxicare:月額PHP 1,500〜5,000(約4,050〜13,500円)、プランによる
  • Intellicare:月額PHP 1,200〜4,000(約3,240〜10,800円)
  • Medicard:月額PHP 1,000〜3,500(約2,700〜9,450円)

HMOに加入すると、提携病院での外来・入院がほぼ自己負担なしになります(プランの範囲内)。PhilHealthは「あって損はない最低限の保障」、HMOは「実際に使う医療保険」という位置付けです。

手続き上の注意

PhilHealthの給付を受けるには、受診時に以下が必要です:

  • PhilHealth ID番号
  • 保険料が直近3ヶ月以上納付済みであること
  • 入院の場合、入院後24時間以内にPhilHealthへの届出

保険料の滞納があると給付が受けられません。雇用主が天引きしていても実際に納付していないケースが報告されています。PhilHealthのオンラインポータルで納付状況を定期的に確認することを推奨します。

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