フィリピンの台風シーズン——在住者が知っておくべき避難と備えの実務
フィリピンは年間約20個の台風が上陸・接近する世界有数の台風銀座。在住日本人が押さえるべき警報システム、避難場所、備蓄リストを実務レベルで整理する。
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フィリピンに上陸する台風は年間平均約20個。PAGASA(フィリピン大気地球物理天文局)の統計によると、そのうち直撃に近い経路をとるものが5〜8個ある。日本の台風とは規模も被害パターンも異なるため、日本での経験がそのまま使えるとは限らない。
PAGASAの警報シグナル
PAGASAは台風接近時に5段階の「Wind Signal」を発令する。
| シグナル | 風速 | 意味 |
|---|---|---|
| Signal No.1 | 30〜60 km/h | 注意。外出に支障が出始める |
| Signal No.2 | 61〜120 km/h | 公共交通が停止し始める。外出を控える |
| Signal No.3 | 121〜170 km/h | 建物の一部が損壊する恐れ。避難を検討 |
| Signal No.4 | 171〜220 km/h | 重大な被害が予想される。避難必須 |
| Signal No.5 | 220 km/h超 | 壊滅的被害。2013年の台風ヨランダ(Haiyan)級 |
Signal No.2以上が出たら、学校・官公庁は自動的に閉鎖される。Signal No.3以上はショッピングモールも閉まるケースが多い。
在住者の備蓄リスト
停電(ブラウンアウト)と断水が同時に起きることを前提に準備する。
- 飲料水: 1人1日3リットル × 最低3日分。ウォーターステーション(街中の浄水販売所)が止まる前に確保
- 食料: 缶詰・インスタント麺・米(炊飯器が使えない場合はカセットコンロ)
- モバイルバッテリー: 大容量(20,000mAh以上)を複数。フィリピンでは情報収集手段がほぼスマートフォンに依存している
- 現金: ATMが停止するため、PHP5,000〜10,000(約13,500〜27,000円)程度を手元に
- 懐中電灯・ろうそく: 停電は数時間〜数日に及ぶことがある
避難場所の確認
バランガイ(最小行政区)ごとに指定避難所(Evacuation Center)が設定されている。多くは公立学校の体育館や教会だ。自分が住むバランガイのホール(Barangay Hall)で事前に場所を確認しておくことを勧める。
コンドミニアム在住者は建物自体が頑丈なため避難不要のケースも多いが、窓ガラスの飛散対策(養生テープ)は必要だ。
台風後に気をつけること
洪水の水には下水が混入している。素足で歩くとレプトスピラ症(Leptospirosis)の感染リスクがある。ゴム長靴がなければビニール袋で足を覆うだけでも違う。
停電復旧後の通電火災にも注意が必要だ。外出前にコンセントから電化製品を抜いておく習慣をつけておくと安心感がある。
情報収集の手段
PAGASAの公式サイト・Facebookページが最速で更新される。英語で発信されるため、日本語話者でも読める。在フィリピン日本国大使館のメールマガジン「たびレジ」も登録しておくと、日本語で警報情報が届く。