リスボンの生活費——急上昇する家賃と「ヨーロッパの穴場」が終わりつつある現実
ポルトガルの首都リスボンの生活費を家賃・食費・交通費ごとに解説。2020年以降の急激な物価上昇で「安くて住みやすいヨーロッパ」という定説は変わりつつある。
この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。
「ヨーロッパで一番安く住める首都」という評判でリスボンを目指す人は今も多い。ただし「安い」は過去形になりつつある。2019年頃から外国人移住者とデジタルノマドの急増が家賃を押し上げ、2023〜2025年にかけてさらに上昇が続いた。
家賃——リスボンの現実
リスボンの賃貸相場(2025年)は以下の通り。
| 間取り・エリア | 月額目安(EUR) | 日本円換算 |
|---|---|---|
| 1ベッドルーム(アルファマ・バイシャ等中心部) | 1,500〜2,500 | 約24〜40万円 |
| 1ベッドルーム(ベレン・アルヴァラーデ等) | 1,200〜1,800 | 約19〜29万円 |
| 1ベッドルーム(オエイラス等郊外) | 900〜1,400 | 約14〜22万円 |
| シェアハウス(1部屋) | 500〜900 | 約8〜14万円 |
中心部の1ベッドルームは東京の山手線内側と遜色ない価格帯になっている。「パリよりは安い」は今も正しいが、「安いヨーロッパの首都」とは呼べなくなっている。
食費——自炊と外食の価格差
ポルトガルの食費は選び方で大きく変わる。
地元のパスティサリア(カフェ)での朝食
エスプレッソ(ビカ)とパン、パスティス・デ・ナタ(エッグタルト)の朝食はEUR 2.5〜4程度。東京のカフェに比べると圧倒的に安い。「朝食だけは安い国」という感覚は今も健在だ。
昼食(メニュー・ド・ジア)
地元のレストランで出る定食「メニュー・ド・ジア」は、スープ・メイン・デザート・ドリンク込みでEUR 10〜14程度。これがポルトガルの食費感覚の基準線だ。
外食夕食
中級レストランで1人EUR 20〜40。観光地(アルファマ・バイシャ周辺)は価格が上がり、EUR 30〜60以上になる。
スーパーマーケット
主要スーパーはPingo Doce・Continente・Lidl・Aldi。自炊中心なら1週間EUR 50〜80(約8,000〜12,800円)程度。
交通費
| 手段 | 価格 |
|---|---|
| 地下鉄・バス1回 | EUR 1.55(Zappingカード使用) |
| 月定期(市内全線) | EUR 30〜40 |
| タクシー(市内5km) | EUR 8〜15 |
| ウーバー(市内5km) | EUR 6〜12 |
交通費はパリ・ロンドンより明らかに安い。地下鉄の月定期が EUR 30〜40(約4,800〜6,400円)というのは、ヨーロッパの首都としては破格だ。
月額生活費の目安
一人暮らし
| 項目 | 月額目安(EUR) |
|---|---|
| 家賃(シェア or 郊外1BR) | 700〜1,400 |
| 食費 | 300〜500 |
| 交通費 | 40〜80 |
| 通信費 | 15〜30 |
| その他 | 200〜400 |
| 合計 | 約 EUR 1,300〜2,500 |
「安い」から「普通のヨーロッパ」へと変わりつつあるリスボン。それでも食・交通・日常サービスのコストは西ヨーロッパの主要都市より抑えられている。家賃の許容範囲をどこに設定するかが、リスボン生活の設計の出発点になる。