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ビザ・税制

ゴールデンビザとNHR税制——外国人富裕層・リタイア移住を引きつけた制度の現在

ポルトガルのゴールデンビザ(ARI)とNHR(非常習居住者)税制は外国人移住を促進してきた制度。2023〜2024年の改正で大きく変わった現状と、今後の活用可能性を解説。

2026-04-06
ゴールデンビザNHR税制移住永住権

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2010年代のポルトガルは「外国人に優しい税制と投資ビザ」でヨーロッパ移住先として急速に注目を集めた。ゴールデンビザとNHR税制はその二本柱だったが、2023〜2024年に大きく変容した。

ゴールデンビザ(ARI)の変遷

ゴールデンビザ(ARI: Autorização de Residência para Atividade de Investimento)は、2012年に導入された投資型居住ビザだ。不動産購入・ファンド投資・資本移転等の一定の投資を行ったEU域外の外国人に、居住権・最終的には永住権・市民権を付与する。

不動産投資の終了

最大の変更点は、2023年10月に不動産投資によるゴールデンビザが廃止されたことだ。住宅価格高騰対策として導入された「Mais Habitação(もっと住宅を)」法の一環で、リスボン・ポルトでの不動産経由のビザ取得ルートが閉じた。

現在有効な投資オプション(2025年時点):

  • ファンド投資: EUR 500,000以上をポルトガルの投資ファンドに投資
  • 企業への出資: EUR 500,000以上をポルトガル企業に投資
  • 文化・科学研究: EUR 250,000以上
  • 雇用創出: 10名以上の雇用を創出する事業

不動産という最もわかりやすい投資対象がなくなり、利用者数は大幅に減少した。ただしファンド経由のルートは引き続き有効で、欧州の居住権・将来的なEUパスポートを目指す富裕層には依然として選択肢になっている。

NHR税制(非常習居住者)の廃止と後継制度

NHR(Regime dos Residentes Não Habituais)は、ポルトガルで初めて税務居住者になる外国人に対し、10年間の優遇税制を適用する制度だった。海外所得に対する非課税措置、特定の職種・収入への20%フラット税率が魅力だった。

2024年1月にNHRは廃止され、代わりに「IFICI(高付加価値活動従事者向け税制)」という後継制度が導入された。

IFICIの主な特徴:

  • 研究者・IT・医師・エンジニア等の特定職種が対象
  • 適用期間は10年間
  • ポルトガル国内所得の20%フラット税率
  • 海外所得の取り扱いはNHRより制限的

フリーランスや退職者がNHRを使って「ポルトガルに住みながら税金を抑える」という活用法は使いにくくなった。

日本人への影響

日本人がゴールデンビザやNHRを利用してポルトガルに移住するケースは少なくなかった。現在の制度変更後は、D7ビザ(受動的収入ビザ)やスタートアップビザが現実的な選択肢になっている。税制面でのメリットは以前ほど大きくないが、生活コストの観点からポルトガルの相対的な魅力は残っている。

制度は変わったが、「ヨーロッパで長期滞在する場所としてのポルトガル」という魅力は、不動産価格の上昇とビザ制度の変更があっても、生活の質と食の豊かさで支えられている部分が大きい。

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