ポルトガルの保健センター(Centro de Saúde)の使い方|家庭医の登録から受診まで
ポルトガルの公的医療の入り口はCentro de Saúde(保健センター)。家庭医(médico de família)への登録方法、予約の取り方、診察料、紹介状のもらい方を解説。
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ポルトガルで病院に直接行っても、救急(urgência)以外は基本的に診てもらえない。すべての医療はCentro de Saúde(保健センター)の家庭医を通す「ゲートキーパー制度」になっている。日本の「具合が悪ければ病院に行く」という感覚とは根本的に仕組みが違う。
SNS番号の取得が第一歩
ポルトガルの公的医療サービスSNS(Serviço Nacional de Saúde)を利用するには、SNS利用者番号(Número de Utente do SNS)が必要。取得にはNIF(納税者番号)と在留許可(居住証明)が必要で、最寄りのCentro de Saúdeの窓口で申請する。
必要書類はパスポート、NIF、在留許可証(CRUE/ARIカードまたは証明書)、住所証明(公共料金の請求書など)。処理は即日〜数日で完了する場合が多い。
家庭医(médico de família)の登録
SNS番号を取得したら、同じCentro de Saúdeで家庭医の登録を申請する。ここが最も時間がかかるポイントだ。
ポルトガル全体で約100万人が家庭医を持てない状態にある。特にリスボンの中心部や人口増加が著しい地域では登録待ちが6ヶ月〜1年以上になることがある。
家庭医が割り当てられるまでの間は、Centro de Saúdeの「consulta aberta(オープン診察)」を利用する。予約なしで当日受診できるが、待ち時間は数時間に及ぶことがある。
予約の取り方
家庭医が登録された後の予約方法は以下の3つ。
- SNS 24(電話): 808 24 24 24に電話して予約。ポルトガル語対応。英語は対応できるオペレーターに当たるかどうか次第
- MySNSアプリ: スマートフォンアプリから予約。ポルトガル語のみだが、操作は直感的
- 窓口: Centro de Saúdeの受付で直接予約。最も確実
予約の待ち時間は家庭医の混雑具合による。1〜2週間後が一般的だが、緊急性が低い場合は1ヶ月以上先になることもある。
診察と費用
SNSの診察は完全無料ではない。家庭医の診察にはtaxa moderadora(自己負担金)としてEUR4.50(約720円)がかかる。専門医の紹介診察はEUR7.75(約1,240円)。低所得者や慢性疾患患者は免除される。
診察は基本的にポルトガル語で行われる。英語対応の家庭医もいるが、割り当てを選べるわけではない。在住日本人の中には、診察時にGoogle翻訳を開いて画面を見せながらコミュニケーションを取る人もいる。
専門医への紹介
家庭医の診察で専門的な治療が必要と判断された場合、紹介状(pedido de consulta)が発行される。専門医の予約は数週間〜数ヶ月待ちが標準。
待ち時間の長さが許容できない場合は、民間の医療保険(seguro de saúde)を使って私立病院を受診する選択肢がある。月額EUR30〜80(約4,800〜12,800円)程度の保険で、専門医の予約が数日〜1週間で取れるようになる。
現実的な医療戦略
在住者の多くが採用しているのは、SNSと民間保険の併用だ。家庭医の登録はSNSで行い、急ぎの専門医受診は民間保険で対応する。処方薬はSNS経由で処方されれば薬局での自己負担が軽減される(薬の種類によって0〜90%の補助)。
Centro de Saúdeに初めて行くときは、朝一番(8:00〜8:30)に行くのが待ち時間を短くするコツだ。書類はすべてコピーを持参し、ポルトガル語の基本的な医療用語メモを用意しておくと、窓口でのやり取りがスムーズになる。