ポルトガルの医療制度——SNSと民間保険の使い分け
ポルトガルの公立医療制度(SNS)と民間医療保険の仕組みを解説。在住日本人が実際に医療機関を受診する手順、待ち時間の現実、英語対応クリニックの探し方まで整理。
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ポルトガルの医療制度は、書類上は素晴らしい。全住民が公立医療(SNS: Serviço Nacional de Saúde)の対象で、原則無料または低額で医療を受けられる。OECDの医療アクセス指標でも上位に入る。
ただし「書類上の制度」と「実際に外国人が受診できるかどうか」は別の話だ。
SNSの仕組みと現実
SNSに登録するには、NIF(税番号)と在留許可証(またはEUパスポート)が必要だ。登録後はかかりつけ医(Médico de Família)が割り当てられ、専門医受診はその紹介状を通じて行う。
問題は待ち時間だ。かかりつけ医の初回登録に数週間〜数ヶ月、専門医の予約に数ヶ月という事例は珍しくない。「風邪を引いたけれど担当医の予約が2週間後しか取れない」という状況は実際に起きる。
緊急の場合は急患(Urgência)に直接行くことができるが、軽症だと後回しにされ、数時間待つことになる。
在住日本人の現実的な選択
多くの在住外国人は民間の医療保険(Seguro de Saúde)に加入し、公立制度を補完として使う。
主要な民間保険会社はMédis・Fidelidade・Multicare・Tranquilidade等だ。月額EUR 40〜100(約6,400〜16,000円)程度から加入でき、民間クリニックでの診察・専門医受診・入院などがカバーされる。
民間クリニック(Clínica Privada)は予約当日〜翌日での受診が可能なことが多く、ストレスが格段に少ない。
英語対応の医療機関
リスボン・ポルトには英語対応の医療機関が複数ある。特にリスボンの「Hospital da Luz」「CUF病院グループ」「Cascais Hospital」等は英語対応スタッフが揃っており、在住外国人に多く利用されている。
ポルトガル語が全くできない状態でも、英語で受診できる環境は確保できる。ただし地方・農村部では英語対応のスタッフが少ない医療機関も多い。
歯科と眼科
一般医療とは別に、歯科と眼科はSNSではカバーが薄いため、多くの人が自費または民間保険で対応する。
歯科治療費はリスボンで初診EUR 40〜80程度(約6,400〜12,800円)。日本と比べると安価で、質も問題ない。日本語対応の歯科医は稀だが、英語対応は複数の診療所で可能だ。
医療の備えとして、到着後できるだけ早く民間保険に加入し、かかりつけ医登録と並行して進めることが、ポルトガル生活の安心の基盤になる。