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リスボンのジェントリフィケーション——日本人が住みやすい街が「住めない街」になる過程

リスボンの急速な都市変容と家賃高騰を解説。Airbnb問題・移住者ブームの影響・地元住民の退出と日本人在住者への影響、現実的な住まいの選び方まで整理。

2026-04-11
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この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。

2015年のリスボンを知っている人は、今のリスボンを別の街だと感じるかもしれない。アルファマの急坂を上がると、かつてポルトガル人の老人が物干し竿で洗濯物を干していたバルコニーが、今はAirbnbの旅行者向けアパートになっている。街が変わった。それは誰かにとっての利益であり、誰かにとっての喪失だ。

リスボンの家賃はなぜ高くなったのか

ポルトガルの金融危機(2010〜2014年)が終わると、政府は外国からの投資を積極的に呼び込んだ。ゴールデンビザ(不動産投資による在留権取得)、NHR(非定住者税制で所得税を一定期間優遇)、低コストな生活費——これらが重なり、北欧・米国・英国・ブラジルからの移住者がリスボンに押し寄せた。

2015〜2023年の間、リスボンの賃貸家賃は数倍に跳ね上がった。

2024年の統計では、リスボン市内の1ベッドルームのアパートは月額EUR 1,300〜2,000(約20〜32万円)が相場だ。これはポルトガルの平均月収(約EUR 1,100程度)を超えることもある水準だ。

Airbnb規制とその現状

ポルトガル政府は2023年、観光賃貸(Alojamento Local / AL)の新規登録を原則停止する「MAIS HABITAÇÃO」法を可決した。地元住民の居住空間を守るための措置だ。

ただし既存の登録は継続しており、効果は限定的という見方もある。長期賃貸市場への物件回帰は緩やかにしか進んでいない。

リスボン以外の選択肢

家賃の高騰が深刻なのはリスボン中心部と一部のトレンディエリアだ。少し郊外に出ると家賃が落ち着く。

  • アマドーラ(Amadora): リスボンから地下鉄・電車で30分。家賃は市内の6〜7割程度
  • セトゥーバル(Setúbal): リスボンから南へ40km。海岸に近く、家賃が安い
  • ポルト(Porto): 第二の都市。リスボンより安いが上昇傾向にある

在住日本人の実態

リスボンに住む日本人は増えているが、長期定住者はまだ少ない。多くは1〜2年のノマドワーカー、またはD7ビザ(受動収入ビザ)での移住者だ。

「安かった頃のリスボン」に来た人と「今のリスボン」に来る人では、体験が大きく異なる。「東京より物価が安い」という情報は、2023〜2025年のリスボン中心部には当てはまらなくなってきた。

それでもリスボンを選ぶ理由がある人にとっては、街のエネルギーと気候と文化は今も十分に魅力的だ。ただし「格安で暮らせる」という前提は持たない方がいい。

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