ポルトガルのオリーブオイル——世界4位の生産国が誇る液体の金
ポルトガルは世界第4位のオリーブオイル生産国。アレンテージョ地方を中心とした生産事情と、在住者の日常での使い方を紹介します。
この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。
ポルトガルのスーパーで最も安いエクストラバージンオリーブオイルは、750mlでEUR 4〜5(約640〜800円)です。日本では同等品質のものが2,000円以上することを考えると、ポルトガルに住む最大の食のメリットのひとつかもしれません。
世界4位の生産量
ポルトガルは世界第4位のオリーブオイル生産国です(IOC, 2023/24年シーズン)。スペイン、イタリア、ギリシャに次ぐ規模で、年間約15万トンを生産しています。
国土面積が日本の約4分の1のこの国に、約3,600万本のオリーブの木が植えられています。人口約1,030万人に対してオリーブの木が3,600万本。1人あたり約3.5本の計算です。
アレンテージョ——オリーブオイルの心臓部
生産の中心はアレンテージョ(Alentejo)地方。ポルトガル南部に広がる広大な平原で、国全体の生産量の約75%を占めます。
アレンテージョでは2000年代以降、「超高密度栽培(Super High Density)」が急速に普及しました。1ヘクタールあたり1,500〜2,000本のオリーブの木を機械収穫で効率的に処理する農法です。従来の手摘みに比べてコストが劇的に下がり、ポルトガルのオリーブオイル生産量は過去20年で3倍以上に増加しました。
ただし、この効率化には批判もあります。超高密度栽培は水を大量に使うため、乾燥が進むアレンテージョの水資源への負担が懸念されています。
北部トラス・オス・モンテスの伝統製法
対照的に、北部のトラス・オス・モンテス(Trás-os-Montes)地方では、数百年の歴史を持つ伝統的なオリーブ畑が今も残っています。急斜面に植えられたオリーブの木を手摘みで収穫し、石臼で搾油する農家もいます。
トラス・オス・モンテス産のDOP(原産地呼称保護)オリーブオイルは、500mlでEUR 8〜15(約1,280〜2,400円)程度。スーパーの安価なものとは風味が全く違い、草の香りと辛みが強い、力強い味わいです。
ポルトガルの食卓とオリーブオイル
ポルトガル料理でオリーブオイルを使わない日はありません。
- バカリャウ(干しダラ): オリーブオイルをたっぷりかけて焼く、または煮込む
- パン+オリーブオイル: レストランで最初に出てくるパンにオリーブオイルを垂らして食べる(有料の場合あり、EUR 1〜3程度)
- ガスパチョ・アレンテジャーノ: パンとオリーブオイルの冷製スープ
- サラダ: ドレッシングの代わりにオリーブオイルと酢をかける
ポルトガル人の1人あたりオリーブオイル消費量は年間約7.5kgで、ギリシャ・スペインに次いで世界3位(IOC, 2023)。日本人の約15倍です。
在住者にとっての実用情報
スーパーで買うなら、以下を覚えておくと選びやすい。
- Azeite Virgem Extra(エクストラバージン): 加熱にも生食にも。日常使いはこれ
- DOP表記: 原産地呼称保護。品質の保証がある
- 収穫年(Colheita): ラベルに収穫年が書いてあるものを選ぶ。古いものは酸化が進んでいる可能性がある
11月〜1月の収穫期にアレンテージョやトラス・オス・モンテスを訪れると、搾りたてのオイルを試飲できる農家(Lagar)があります。搾りたてのオリーブオイルは緑色で、舌がピリッとする辛さがある。これが本来の味です。